子供に嘘をつかせる毒親 (2)

子供に嘘をつかせる毒親 (2)

学校でも、習い事の先生にも、平気で嘘をつきました。仮病など日常茶飯事。本当は遊びに行って習い事をお休みしたのに「具合が悪くなって・・」などと無難なことを言います。しかも私の嘘には、罪悪感がありません。本当のことを言ったら、相手が困ったり傷ついたりするだろう。だから、いいように言ってるんだ。「嘘も方便だ」と。 ...

母は、私が外で嘘をついていると知っていたはずです。なぜなら、嘘をつかなかったことを、母に怒られたことがあるから。母は、習い事をお休みした理由は、遊びに行ったからだと正直に先生に言ってしまった私に、「本当のこと、言っちゃったの?」と怒りました。「お母さんに迷惑かけちゃった。先生も傷つけてしまった・・」とショックを受けたことをよく覚えています。嘘をつくより、正直でいる方が気持ちが楽なんだ、とわかりかけてきた年齢のときに、さらに嘘をつくように仕向けられてしまった出来事でした。

そんな私は、小学生の頃、神経性胃炎を発症しました。「あなたはちょっと神経質なところあるのよ」と母には言われていました。大人になった今でも、気持ちが弱るようなことがあると、すぐ胃が痛くなったり、下痢をします。本当に「私が神経質だから」、それだけだろうか?

最近夫とこんな話をしました。「小さい頃、お義母さんに怒られたこととかないの?」。夫は言いました。「そうだなぁ、怒らないから正直に言いなさい、って言ったから正直に言ったら怒られたんだよー!」。夫は笑っていました。私はとのとき、心底「うらやましい」と思っていました。

一度でもいい。親から「あなたの、本当のことが知りたい」と言われてみたかった、と思いました。たとえ怒られるのでもいい。「正直に話しなさい」と言われたら、どんなに気持ちが軽くなっただろう、と思います。正直でいられないということは、本当に辛い。嘘とは、ついた瞬間には平気でも、嘘がまた次の嘘につながり、つじつまが合わなくなれば「嘘つきだ」と言われ、自分のついた嘘でがんじがらめになってしまう。それは私が痛いほど知っています。

いい家に住み、いい洋服を着て、外見だけはきれいな家の中で、幼くして嘘をつき続けなければならなかった私の子供時代。裕福な家庭に育ちながら、いつも孤独だったワケがわかった気がしました。神経性の胃炎を発症した理由も、この家庭環境にあったのではないか、という気がしてなりません。


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