子供が親のご機嫌取り..気に入らないと拗ねる毒母 (2)

私は、今でも夫がひとり働いていると、ドキドキしたり不安になります。夫が働いているのに、自分だけがゆっくりテレビを見たり、お茶を飲んでいたりすると、そのうちに夫が激高するのではないかと怖くてしょうがないのです。夫は、とても穏やかな人で、声を荒げたりすることはない人なのに。 ...

頭ではそれがわかっているのに、体が反応してしまう。ドキドキしたり、イライラしたり、ソワソワして、非常に不快な感覚に襲われます。『毒親』という言葉を知って、これが毒親の「洗脳」なのだな、と気づきました。私は、実家を出るまでの２２年間、毎週のようにそんな不快な状況に置かれてきました。条件反射のように、人が働いている状況、イコール、不快なこと、と結びついてしまっているのだと思います。

夫は、家のことを進んでよくやってくれる人です。紙ゴミを縛って出してきてくれたり、お風呂を磨いてくれたり、お皿を洗ってくれたり。私は、ただそれに「ありがとう」を言えば十分のはずなのに、たったそれだけのことが私にはひどく難しいのです。夫が家事をしてくれているのを目にすると、「なんで、お前はやらないんだ」とそのうち怒り出すんじゃないかと怖くなる。そして夫にこう言いたくなるのです。「勝手にやらないでよ！　私まで働かなくちゃいけなくなるじゃない！」。変な理屈だ、と頭ではわかっていても、そう叫びたくなります。

私は子供の頃、よっぽどのストレスを受けていたんだろうな、と思います。家族の誰かが働いているだけで、こんなにイライラしたり不安になったりするのは、異常だと思います。せっかく家事をやってくれる夫に、素直に感謝の念を抱き、それに甘えられないなんてもったいないと思います。私は、あえてどっしりすわってテレビを見、コーヒーを飲み、「ありがとう」とだけ言うことにしました。

少しずつ、体でわかってきました。夫は、自分でひとりが働いている状況でも、決して怒ったりしない人なのだと。そして「ありがとね」と言うと、ただそれだけでうれしそうだということも。夫の行動によって自分の感情が振り回されることが少なくなって、気分が安定しました。こういう気分を「この人といるとくつろぐ」とか「安らぐ」とか言うのかな、とわかった気がしました。

『毒親』という言葉に出会わなかったら、私は一生、夫に感謝することも、家庭で安らぎを得ることもしないまま一生を終えてしまったかもしれないな・・と思います。本当によかったと思います。

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