子供のものを勝手に捨てるバカ親 (2)

私は父に、心底同情していました。父も私と同じ気持ちに違いない、と思っていたのです。私は、母から物を捨てられたとき、物が無くなってしまったショックだけでなく、自分の気持ちまでも粗末にされているような気がして悲しかった。だから、父も辛いだろうと思っていたのです。 ...

私は、大学進学と同時に、実家を離れました。

あれから15年。仕事を定年退職した父が、私の家に遊びにきました。私は、母のことは苦手でも、父とは気が合うと思っていました。しかし、どうやら違っていたようでした。

父は、ベランダに並べてある土の袋を見て、「汚いなぁ。あんなもの、早く捨てなさい」と言いました。大事に取ってある雑誌の山を見て、「あんなに取っておく必要が、どこにあるんだ。俺が捨てやすいように紐で縛ってやろう」と言いました。

ベランダに並べてあった土は、ガーデニングが趣味の私の大事な土でした。雑誌の山は、編集の仕事をしている私の、いわば「勉強道具」とも言えるべきもので、いらないものでは全くありませんでした。私は思いました。

「お父さんも、お母さんと同類だったのか・・」。

私は、「いいの、そのままにしておいて」。とだけ言いました。どんなにそれが自分にとって大事なものなのか、説明しても説明しても・・母にわかってもらえなかった経験を持つ私です。もう父にも、それを説明する気にはなりませんでした。

後は、「早く帰ってくれないかな・・」とだけ思いながら父にお茶を出し３時間。残ったのは脱力感。「お母さんから、大事にしてるもの捨てられて、お父さんかわいそう・・」そう思っていた自分がバカを見た気分でした。

知らなかった。母だけでなく、父も「毒親」だったなんて。