娘に見返りを求める母親。その末路 (2)

実家に帰ったとき、母に言われました。「あなたは、いつまでたっても、私に何もしてくれないわね」と。 ...

嫌だ嫌だと思いながらも、こうやって実家に帰ってるじゃない、何もしてないとか言われても・・と言いたい気持ちを抑え、黙って母の話を聞きました。

母は、私に親への感謝の気持ちとか、親孝行が足らない、と思っているようでした。確かに母は、自分の両親を大事にしている人でした。「私は、自分の両親に、お歳暮やお中元を欠かしたことがない。あなたは、結婚したとき１度だけじゃない？　親の恩とか、忘れちゃってるんじゃない？」と言われました。

これだから私は、母が苦手なんだ、と思いました。親の恩ばかりを考えて生きていけるほど、世の中甘くない。仕事のこととか、家庭のこととか、やることいっぱいあるんだから・・と思いつつ、だまって母の話を聞きました。

「私は、４人の親、みんな介護をしたわ」。今度は、あなたが私の面倒を看る番よ、とでも言いたげに、自分の介護苦労話を永遠し続けました。母は、話しているうちに、自分を抑えきれなくなったようでした。どんどん話がデカくなっていき、最後にはこう叫びました。

「結婚するときにだって、あなたは、産んでくれてありがとうとか、育ててくれてありがとうって、言わなかったよね。私は最近、何のためにあなたを産んで、こんなに一生懸命育てたのか、わからなくなってる。私の人生、返してよ」。

ただただショックでした。頭の整理も、気持ちの整理もつかないまま、数日が過ぎ、すっかりしょげ返っている私に夫がポツリと言いました。「見返りを求めるのは、愛じゃないよね」。気づきました。「そうか、見返りか・・」。子育てに見返りを求めるから、母は辛いことになっちゃってるんだな、と思いました。

誰かにどんなにいいことをしてあげも、それに見返りを求めたら、「それが目的だったの？」「自分もして欲しいから、してくれただけ？」ということになる。見返りを求めて優しくしてくれる人に、ありがとうって思うだろうか？　「思わないよね。思う人がいても別にいいけど、思わなくてもその人のこと、責めれられないよね」。

私もそんな立場にいるんだな、と思いました。私は、母に何にもしてあげる気が起こらない自分を、今日限りで赦そうと思います。そして私は、自分の家族に、見返りなんて決して求めない本物の愛情を示せる人になろうと思います。それは、母からの最大の教えなのかも。

「お母さん、私はあなたから、大切なこと、教えられたよ。あなたの姿を見ているうちに、見返りを求めたら、それは『愛』じゃなくなっちゃうって気づけたよ」。そのことにならお母さんにありがとうが言えるかも、と思います。

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