娘を支配する父親。その末路

娘を支配する父親。その末路

大人になって気が付きました。私は父に、自分のすべてを支配されていました。 ...

父は、本当にうるさい人でした。

絵を書いていると、たいてい父が「手伝ってやろう」と言い出します。ここは赤にしろ、とか、ここは青にしろ、とか言って、勝手に色を塗っちゃったりします。そして最後には必ず言います。「お父さんが仕上げてやろう」。父が加筆をし、そして言うのです。「どうだ、いい絵になっただろう」。

そんな父のことが、ウザいと思ったことがないと言ったらウソになる。でも、私は抵抗できませんでした。「お父さん、ありがとう」と言わないだけで、「お前は素直じゃない」と不機嫌になる。「ひとりでやらせて」なんて言ったら最後、カンカンに怒り出す父だったから。

父は「飴と鞭」を巧みに使いわけ、私を支配していきました。父は、私がイイコのときには、明るく楽しく優しい父でした。でも少しでも反発したり、父の言うことを聞かないと、とてつもなく冷たくなりました。背筋が凍るほど。私はそんなとき、「お父さんから見放されちゃったかもしれない」と怖くて怖くてたまりませんでした。

私はそんな父に、心まで支配されてしまいました。父が、喜ぶようなことをし、喜ぶようなことを言いました。本当は嫌いなのに、無理して「好き」と言ったりしました。本当はいいと思ってるのに、父が気に入ってないと感じれば、「あんまりよくないと思う」とか言いました。

何か口にするときは、「お父さんは今、私に何て言って欲しいと思っているだろう」と必ず考えました。そして、父が期待している通りのことを言いました。父が怒り出したら、「読み間違った」と落ち込みました。父が喜ぶような言動ができなかった自分が悪いんだと、真剣に思っていました。それが普通だと思っていました。みんなそうやって生きてるんだと思っていました。

いったんご機嫌を損ねれば、容赦なく私を攻撃し、「お前は俺の娘じゃない」とまで言い放つ父。子供の頃から思っていました。「敵に回したら怖い」と。私は父に、まったく逆らえなくなっていました。

そんな私に事件が起きたのは、27歳のときでした。

私は、父の縁故である会社に勤めていました。父が「ここにしろ」と言ったから。もしかしたら、父に逆らうのが怖くて入社しただけだったのかも。5年勤めて、父に内緒で転職活動をしました。転職先から内定をもらい、父にもおそるおそる報告しました。

父はカンカンでした。「あ・・敵に回してしまった」と思いました。とてつもなく怖くなりました。なぜ転職しようと思ったのかを説明しようと思っても、聞いてくれません。背筋が凍るほど怖かったあの父の冷たい目が、そこにはありました。

しかし私も、もう大人です。経済的にも自立している私には、何も怖がる必要などないと思いました。それに、ここで勇気を出さなければ、自分の思い描いたような人生を歩めないと思いました。

転職したものの、家では針のむしろでした。「私は、お父さんから捨てられちゃった子なんだ」。27歳になるのに、子供のようにそう思い、毎晩涙が出ました。私に残されたわずかな希望は、かばってくれるとか、味方になってくれるとか、そういうことはなかったけれど、私を敵視していないことだけは感じられた母の存在、それだけでした。

疲れ果てた私は、そんな父との関係を、おしまいにしようと決心しました。

私は遠方に引っ越すことにしました。会社に申し出、地方支社への転勤を自ら申し出ました。そこには、自分のしたい仕事ができる環境があります。本社より、地方支社。今までよりも、責任ある仕事を任されるポジション。そして、父の支配から逃れられる。それが大きかった。

父の支配から逃れ、自由になった今、私は思います。子供の頃に親から洗脳されたことは、こんなにも子供の中に、長く残り続けるものなのか、と。私と一切口をきいてくれなくなった父の背中を見るたび、「お父さんは、もう私のこと見捨てちゃったんだよね」と泣きたくなっていたあの頃。「私もいい大人なのに、どうしていつまでも、こんなに子供みたいなんだろう・・」そう思っていた理由がやっとわかりました。

子供の頃に刷り込まれたことや傷ついたことは、大人になったからといって治るものじゃない。子供だった頃の泣いてる自分が、一歩も前に進めずに、大人になったその人の中にいるのだと。それを「インナーチャイルド」と言うのだと。

父から離れて正解でした。地方支社に移って3年。「今まで大変だったね。もう何も怖がることはないよ。意地悪なあのおじさん(父)は、もうここにはいないんだから」・・私の中にいるインナーチャイルドに何度もそう語り掛け、私は強くなりました。

娘を支配し続けようとした父。人にはみな、自分らしく生きる権利がある。誰の支配も受けずに。「自分の親が、その敵だったなんて・・」。自分の運命を呪いたくなったこともあった。でもそれももう、自分の人生を彩る1ページ。もう何も怖くない。私はもう自由なんだから。 [...]


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