調子に乗る父親。その特徴と子供への影響 (2)

調子に乗る父親。その特徴と子供への影響 (2)

僕は就職と同時に、親元を離れました。そこにやりたい仕事があったから、というのが一番の理由ではあったけれど、父親から離れたい、というのも正直ありました。父は、些細なことですぐ怒る人でした。それが絶えられませんでした。 ...

ごめんなさいが言えない子供だった僕も、社会人になって変わりました。仕事でミスをすることもあるけれど、「すみませんでした」と言えば、許してもらえます。営業の仕事も途中からするようになって、お客さんからお叱りを受けることも多々あったけれど、こちらに否があると思ったときには、「申し訳ありません」と言えば、許してもらうどころか、僕を信頼してくれるようになりました。そんな人間関係の中で、僕は、子供の頃にできなかった「謝る」ということができるようになりました。

社会人になって8年。実は僕は、一度も実家に帰っていませんでした。この8年の間には、父は一度病気をし、入院し手術したことがあったのだけれど、僕はお見舞いにさえ顔を出しませんでした。そのことも、ずっと引っかかっていました。僕は、父に電話をしました。「今度の正月、顔を出したいんだけど」と。

父は、かなり怒っていました。「今更、よく顔をだせるな」と言われました。「ご無沙汰だよね。ごめん」と謝りました。「俺が入院したとき、見舞いに来なかった」とおやじに言われました。謝りました。「悪かった。反省している」と。ひととおり謝ったら、今度会えるのを楽しみにしている、とか、そういう展開になるのかと思っていました。しかし・・。

おやじは、どうやら、調子に乗りやすいタイプらしい・・。

おやじは、僕が謝れば謝るほど、水を得た魚のように、どんどん僕が謝るべき点をあげ、そこから1時間、僕は謝りっぱなしになりました。さすがに疲れました。「また改めて電話する」と言って電話を切りました。

僕は思い知りました。「謝ったら逆効果になる人が、世の中にはいるのか」と。「謝ったら、相手を調子に乗せるだけ。そんな人がいるのか」と。

「ごめんなさい」が言えなかった子供の頃。子供の頃の僕は、それを知っていたのかも、と思いました。謝ると、さらに攻撃される。謝らない方がいい、謝ってもロクなことはない、と思っていたのかも。そんな父親の元に育ったから、世の中の人もみんなそうに違いない、と思っていて、先生にも、友達にも、謝れなかったのかもしれない。子供だった自分が、そう勘違いしてもおかしくないようなおやじだな、と思いました。

今、僕は、こんな風に思います。謝るということは、恥ずかしいことでも、怖がるようなことでも、敗北でもなく、そこからまた新しい人間関係が広がっていくもの。おやじと離れ、おやじと会わない期間を8年を作ったことは、成功だったんだな、と思いました。その間に、僕は、こんな風に考えられる人間になれたんだから。

「子供の頃の僕の方が、よっぽどおやじの扱いを知っていたんだな。おやじには、ごめんなさいは通用しないんだ。かえって調子に乗っちゃうんだ」。こんな最低な人間、そう見ないな、と思いました。営業の仕事をしていて、いろんな人に会うけれど、こんな人ひとりもいない。

それが自分の父親だったなんて・・。運命を呪いたくなります。


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