親の理想の押し付け..子供を思い通りにしたがる毒母 (2)

「娘は母親の作品」これが母の口癖。母の理想の娘として、厳しく育てられました。 ...

テストで悪い点を取ったり授業で間違ったりしないように、毎晩毎晩、母つきっきりで予習復習をしました。「あなたを音大のピアノ科に入れるのが夢なの」と言う母の言葉に従い、ピアノのレッスンにも10年以上通いました。洋服も髪型も所作も言葉遣いも、学校の先生のみならず、近所の人誰が見ても「いいお嬢さん」と見えるようにとみっちり仕込まれました。このときすでに毒親だったかもしれません。しかし、「あなたは失敗作」と言われたあの日までは、さほど気にしていませんでした。だって私は今、つきたい職業につき、好きな人と結婚して家庭を持ち、自立できている。それは、厳しすぎたかもしれない母の教育やしつけのおかげだと思っていたから。

だから、結婚して家を出て20年、母から「あなたはお母さんの作品なのよ。完璧な娘に育てたはずのに・・。今のあなたにはがっかり」と言われたとき、ただ驚くばかりで、私は返す言葉が見つかりませんでした。

母が私を厳しく育ててくれたのは、将来私が自分の足で自分の人生を歩んでいけるするためだと思っていました。母の言う「娘は母親の作品」とは、どんな地位の高い職業についたとか、どんな立派そうな人と結婚したとか、どんな風貌かとか、そういうことではないと思っていた、そうであるはずがないと信じていました。しかし母は、ただ自分の思い描いたとおりの「エリート」であることを望んでいただけだった。私が幸せであるか、私らしく生きているか、など最初から興味がなかった、という現実にいやおうなしに向かい合わされた瞬間でした。

あれから数年経ちました。ひどいうつ状態に陥った時期もありましたが、本を読み、人の話を聞き、「世の中の親がすべていい親とは限らない」と知りました。「毒親」というキーワードと出会っていなかったら、私はこれでいいんだ、と自信を取り戻すことができなかったと思います。今でも、ふと夜中に目が覚め「今のあなたもお母さん大好きよ」と一度でいいから言われたい・・そんな気持ちに捕らわれ眠れなくなることがあるけれど、今ではその気持ちも、私は自分の家族をちゃんと愛したいと思う原動力になっています。

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