軽蔑。子供からバカにされて当然の父親 (2)
母は言いました。「収入も、あなたの学資も、お父さんの呑み代に消えちゃったの」。確かに父は、週に1度ほど、ベロンベロンに酔って帰ってきました。しかも、父にはおごり癖がありました。父は、たいてい行きつけの呑み屋にひとりで呑みに行き、そこで、見ず知らずの人にまで、俺が奢ってやるなどとデカイことを言い、持ち金のすべてを置いて帰ってきていたようでした。その金額は、ひと晩に10万以上になることも。 ...
確かに父は家でも、よく威張り、虚勢を張る人でした。あの父のことです。周りからちょっと持ち上げられれば、いい気になって、「どんどん呑めや!」などと、札束をボンと置いて帰ってきてしまうことなど、容易に想像がつきました。
私は、昔の父と母の姿を思い出しました。酔って正体不明になっている父の体を支え、倒れ込むように家にあげる母はどこかうれしそうで、喜んで父を介抱しているように見えました。そんな姿を思い起こすにつけ、母もまた、私の学資を守る気などなかったのではないかと、父だけでなく、母に対する気持ちまでスーッと冷めていくのがわかりました。
ひとり娘の学資にまで手を出した父。それを阻止しようとしなかった母。考えれば考えるほど、怒りと憎しみが募り、二度と会いたくないと、何度も何度も思いました。しかし、私が親と縁を切ることは、私たち夫婦の大切な息子から、おじいちゃんおばあちゃんを奪うことになる・・。
自分の親とどう付き合えばいいのか、ただ悩むだけの日々が続きました。当時の私には、嫌いなら縁を切る、付き合うなら親を好きであり続けなければならない、そのふたつの選択肢しかなかったのだと思います。私は、第三の選択肢を知ることで、やっと楽になりました。「私は、心の底からあの人たちを軽蔑している。でも、顔では笑っていよう」。
夏には、ひとり息子を連れて実家に帰ります。おじいちゃん、おばあちゃんといい思い出をたくさん作って欲しいと、いろいろと心を配ります。私が両親に嫌悪感丸出しの態度を取っては、息子は祖父母と仲良くなれないでしょう。だから、わだかまりなどないような顔をして過ごします。でも、自分の心に嘘はつけない。つきたくない。「それを顔や態度に出さずとも、あの人たちが、私をどう扱ってきたのか私は忘れない」。心の奥底で、そう思っている自分を赦すことにしました。
子供を持って、親とは子供のためなら何でもできるものなのだなと知りました。友人は、自分が親になって、自分の親もこんな気持ちで自分を育ててくれたのかなと初めてわかったと言ったけれど、私は逆でした。私は、自分が親になって初めて、自分の親がいかに愚かだったのか思い知りました。
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