味方になってくれない..子供を裏切る毒親 (2)

社会人になってひとり暮らしを始め、数年経った頃、私は、銀行からおろしたばかりの封筒を無くしてしまいました。明日には、家賃を払わなければなりません。仕方なく実家に電話をしました。「お母さん、一生のお願いだと思って聞いてくれる？　お金貸して欲しいの」。 ...

母はすぐさま答えました。「嫌よ！」。
・・オレオレ詐欺も真っ青の断りっぷりでした。

貸してはもらえないような気はしていました。だから、驚いた、というよりは「あぁやっぱり」と思ったことをよく覚えています。でも、こんなとき位、親を頼たっていいじゃないか・・。私は多少むきになって続けました。

「お父さんにも聞いてくれないかな。もし用立ててもらえるなら、電話くれるとうれしいよ・・」。母から電話はありませんでした。

お金は、大家さんに事情を話して猶予をもらい、なんとかなりました。しかしその後、私は重いうつ状態に長いこと悩まされました。わけもなく涙が出たり、怒りがこみあげてきたりしました。「なんだかんだ言ったって、お父さんもお母さんも私を見捨てることはしないだろう」と一縷の希望をつないでなんとかここまで親子関係を続けてきたけれど、その気力を完全に失ってしまいました。私は親に捨てられた、いえ、当の昔に捨てられていたのだと思ったら、生きていく気力さえなくなる気がしました。

「千円でも、二千円でもよかった。手元にあるお金を、足しにしなさい、と用立ててくれたら、どんなにうれしかっただろう」と思いました。「お金がなくてもかまわなかった。食べるものあるの？　あなたに怪我はないの？　と聞いてくれたなら、どんなに勇気づけられただろう」。そのことに気づいたら涙がこぼれて止まりませんでした。「私があのとき、父や母から欲しかったのは、お金じゃなくて、愛情だったんだな」。

『毒親』という言葉を知り、私はこの辛い体験に自分なりの結論を出すことができました。私の両親は、本物の愛を知らない人たちなのだと思います。自分が親から言って欲しかった言葉は、胸に大切にしまっておきたいと思っています。そしていつか、私の大切な人が窮地に立たされるようなことが起こったとき、心のこもった言葉をかけてあげられる人になろうと思います。

先頭へ戻る