「親に感謝できない」..子供を利用する毒親 (2)

就職活動を始めるとき、母は私に成績のことをしきりに言いました。ずらっと並んだ「Ａ」の中に、ふたつだけ「Ｂ」がある。「このＢが残念ねぇ・・」。就職活動の妨げになるような成績ではないはずです。なぜそのようなことを言うのか、私にはサッパリわかりませんでした。 ...

ある日親から、就職試験は受けずに、親のコネを使って就職するように言われました。「就職先は自分で探したいからいい」と断りました。母は言いました。「お父さんは、あなたの成績証明書や履歴書を持って、知人のところをまわるのが夢なのよ。少しはお父さんの気持ちも考えてあげて」。承諾しなければ親不孝だと言わんばかりの言い方でした。

「やっても構わないけど、そこには私、就職しないよ」。父は本当に、私の履歴書を持って、取引先や知人のところへ行ったようです。「この会社に就職したいから行お父さんの力を貸して」と私が頼んだのなら、感謝もできるでしょう。しかし、私は「そこには就職しない」と言っているのです。見せなくてもいい成績表や履歴書を、私の知らない人に見せ、父の自慢話のネタにされているのかと思ったら、気味が悪くてたまりませんでした。

『毒親』という言葉を知ったとき、私は心底ほっとしました。父は私のことが大好きで、私のことをよく褒めてくれてもくれたのに、私はずっと父のことが好きになれず、感謝の念も抱けませんでした。そんな私は、人としてどこか大事な部分が欠けているのではないか、親不孝なのではないかとずっと悩んできました。でも、それは私だけのことではなく、毒親の元で育てられた人の多くが抱えている葛藤なのだとわかりました。

『毒親』という言葉に救われた気がしました。

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