絶対服従。気に入らないとヒスを起こす父親。子供への影響と末路 (2)

１分判定毒親チェック

ヒステリーな父親

父は、突然ウチにやってきて、ヒスを起こし、捨て台詞を吐いて、帰っていきました。 ...

それはある日のこと。私は夫と、飲食店を営んでいます。父が突然やってきたのは、その営業中のことでした。

父は、店に入ってくるなり「トイレ貸せ」と言って、トイレに向かいました。トイレの扉を閉めることもなく、使いっぱなしでそそくさと出てきました。私は、父が本当に通りがかりでトイレだけ借りにきたのかと思ったくらいでした。

しかし違ったようでした。厨房で忙しく働いている夫に向かって、父はいきなりキレました。「ご無沙汰してますとかなんとか、言えないのか！！」と言いました。そのときになって私は、初めて父が、ウチに用事があって来たのだと知りました。

父のヒスには、私も慣れています。めげずに私は言いました。「いらっしゃい。食事していってね」。

正直なところ、私はうれしかったのです。夫が小さなイタリアン料理店を始めて８年。父は一度も、夫の作る料理を食べに来てはくれませんでした。だから、ぜひ食べて欲しいと思いました。しかし・・

ふと見ると、父は、お客様駐車場の２台分のスペースのど真ん中に車を停めていました。私は言いました。「車を左右、どちらかに寄せてもらえる？」。そこで父は、完全にキレ、ヒステリー状態となりました。父は言いました。

「こんな店、客なんか来るわけないだろう！！」
「どうしてオレがそんなことしなくちゃいけないんだ」
「お前たちの店になんか、もう２度と来てやらない！！」

父は、出口に向かい、そして最後にこう言いました。

「タケノコ持ってきたけど、お前にはもうやらない！！」。

父は、タケノコのお裾分けを持ってきてくれたようでした。私は、父を駐車場まで追いかけましたが、父のヒスは収まりませんでした。そのままプンプン怒って、「誰がお前に、タケノコやるもんか！」と言って、帰っていきました。

娘を鬱にした父親

私は、その日から鬱になりました。怖くても怖くて仕方なくなったのです。「私はついに、お父さんから嫌われちゃったんだな」と思えてならなくなりました。「私があんなこと言ったからだ。お父さんから、捨てられちゃったけど、全部自分が悪いんだ」と思えてならなくなりました。涙が止まりませんでした。そのとき私は、36歳。結婚して夫もいる。父のことを、そんなに怖がらなくても大丈夫なのに。なぜだか、怖くて怖くてたまらなかったのです。

そのような心理のことを「見放され不安」と言うと知ったのは、それからしばらくしてからでした。

子供の頃から感じていた「見放され不安」

気に入らないことがあるとヒスを起こす父。子供の頃の私も、父にヒスを起こされては、「お父さんから嫌われちゃう」「捨てられちゃうかもしれない」と怖かった記憶があります。

大人になって、改めて経験した「父のヒス」。子供を「見放され不安」にするのに十分な親の態度だと思いました。

見放され不安を治す方法。「周囲の人と話す」

私に、立ち直るきっかけをくれたのは、夫のひと言でした。夫は言いました。「何を怒ってたのか、よくわかんないけどさ・・怒ってるにしても、タケノコは置いていけばよかったんじゃないの？！」。思わず吹き出しました。そして「言われてみれば、そうだよな」と思いました。

もし父が、「せっかくタケノコ持ってきてやったのに」とプンプン怒りながらでも、タケノコを置いていってくれたなら、私はこんなに恐怖のどん底には落ちなかったかもしれない、と思いました。「この前は、怒らせちゃってごめん。タケノコ美味しかったよ」と連絡ができたかもしれない。

見放され不安の解消法。「過去を振り返り気持ちを整理」

思い出しました。私は子供の頃、ヒスを起こした父に「お前にはもう何にもしてやらない！」とよく言われました。実際父は、そんなとき手のひらを返したように冷たくて、何もしてくれなくなりました。父は、私が子供の頃の父と何も変わっていないのだと思います。たかがタケノコ。しかし私にとっては「されどタケノコ」。「お父さんは、怒らせると、なーんにもしてくれないし、なーんにも買ってくれないし、買い与えたものまで取り上げたりした。それが、子供の頃からすごく怖かった。そして今でも」。