萎縮している子供。その特徴と心理 (2)
親から虐待されてきたなど、萎縮している子供は、他者に対しても恐怖心を抱きがちです。大人になり社会に出ても、萎縮しています。自己主張や自己表現が苦手なため、人から誤解されることも多く、そのために自信を失い、萎縮したままになってしまいがちになるのです。 ...
「私は、人に話しかけることが苦手でした。相手から、怒られるんじゃないかと怖くて、話しかけたくないんです」。この人の父親は、気分の波の激しい人で、さっきまで笑っていたかと思ったら、些細なことで激高したりする人だっと言います。
「私の萎縮っぷりは、重症でした。夏休みが終わって、会社の人にお土産を渡すのが怖くて、人のいないときに、こっそり置いたりしていました。お前のせいで忙しかったとか、何か言われるんじゃないかと怖かった。悪い予想しかできないんです。でも実際には、そんなこと言う人はいなくて、ありがとうとか、美味しかったよ、とか言われるだけなんですけど・・」。
いつも萎縮している自分。誰かに怒られるんじゃないかと常に怖がっている自分。そんな生きづらさの原因が、父親にあることが判明したのは、ひょんなことがきっかけでした。
「私は、わざと遠くの会社に就職し、実家を離れました。実家にも帰りませんでした。私の『萎縮』は、それだけのことで、少しずつよくなっていました。最近、10年ぶりに実家に帰ってみようかと思いました。今の自分なら、父と話ができるんじゃないかと思ったんです」。
しかし、この人の父親は最悪でした。「父は昔から、ちょっとでも気に入らないことを言われると、人が変わったように怒り出し、一度怒り出したら最後、周囲にひどいことを言い続け、収まらないところがありました。覚悟はしていました。でも、子供の頃の父と何も変わっていない・・ある意味驚きでした。実家に帰ってこなかったことに対する謝り方が足りないと怒り出し、そこから4時間、私は、父から説教され続けました。私も大人です。反論しても、さらに父を怒らせるだけだろうと思って、黙っていたら、弱い者いじめでもするかのように、私の欠点や、過去にした様々な失態や失敗を、これでもかというくらい並べ立てられました」。
この人は言います。「父の態度はあり得ません。今の私にはわかります。やっぱり父とは付き合えないや、と思ってこの件は終了になるはずでした。しかし、その後遺症は、じわりじわりと表れ始めました。1ヵ月、2ヵ月・・時間が経つにつれ、私は萎縮していきました。人に話しかけるのが億劫になりました。相手を怒らせ、ひどいことを言われ、やっぱり話しかけなきゃよかった、と後悔するような気がして、怖がってる自分がいます」。
実家を離れているときには、萎縮が治り、父親と半日一緒にいただけで、萎縮してしまう・・。「これって、明らかに父親が原因ですよね? 完全に虐待だと思います」。
この人は言います。「私は騙されていたと思います。父は、暴力を振るうわけじゃない。だから、自分がされてきたことが虐待だとは気づけませんでした。虐待とは、暴力を振るっているかどうかの問題じゃないと思います」。
この人は今、好きな音楽を聞き、美味しいものを食べ、リラックスする時間を大切にしていると言います。「自分を大切にする時間を作り、父親から受けたダメージを癒そうと思っています。父から離れることで、一度は治ったのだから、焦らずに、きっとまたよくなるよ!と自分に言い聞かせています。ショックだったけれど、あり得ない父親だった、ということを確認するために、必要な機会だったと思っています」。
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