否定しかしない親。心理と影響、その対処法 (2)

否定しかしない親。心理と影響、その対処法 (2)

視野が狭い

ひとりよがりな親も、子供を否定しがちです。子供には子供の感じ方があり、考え方や価値観があります。親の中には、子供のそれが自分(親)のと違うとき、それを「間違っている」と決めつけ否定する親がいます。自分(親)の「ものさし」から少しでもはみ出ていることは、すべて否定。子供は、否定されるべきではないことまで、親から否定されることになります。 ...

そのような親の元に育つ子供は、個性や人格までも否定されることになります。親に合わせてばかりになり、自我が育ちません。自分の感じ方や考え方に自信が持てず、楽しいとか、嫌いとか、そんなことにさえ、「これであってるのだろうか」「そう感じていいのだろうか」と自信が持てなくなったりします。承認欲求が強くなったり、人に合わせることはうまくても自己主張のできない人、になってしまいます。

人と比べるの親

子供を人と比べる親も、子供を否定しがちになります。人はみな同じではありません。人より劣っているところもあれば、優れているところもあって当然で、人と人を比べることはナンセンス。人と比べる親は、自分の子供の「誰かと比べて劣っているところ」を、片っ端から指摘することになります。子供は、否定されっぱなしになります。

人と比べられて育った子供は、子供自身も、自分を人と比べてばかりになります。人より劣っているところがあれば、ひどく落ち込み、優れている点を見つければ自信満々になるなど、気分が安定しません。人を妬んだり、人と対等につながる感覚がわからず、友達ができにくかったりします。

子供に勝ちたがる親

親の中には、子供より優位に立っていたい、とか、子供より偉ぶっていたい、とか、子供に勝ちたがる親がいます。そのような親は、子供を、必要以上に否定します。子供を否定することで、優越感に浸りたがっているのです。親から否定され続け、「お前は、親に絶対かなわない人間だ」と思い込まされるなど完全にいじめです。子供が、自信を喪失して当然です。

親の態度がどんなに間違っていても、それに抵抗できないのが、子供です。子供は、親の姿をお手本にして育ちます。親のしていること、言っていることを「正しいこと」として理解していきます。

それが間違っていると気づいたときには、10年、あるいは、20年、30年といった年月が過ぎています。そのような人は、「否定ばかりしないでよ」と親に言うこともできません。親から否定され続けてきた人は、親に反発したり自己主張したりしようにも、それを主張できるほどの自信が持てていないのです。親から自信を奪われて育ってきたために、そんな親の態度に逆らうこともできない・・それが毒親育ちの人が直面している現実です。

でも諦めないでください! そんな状態からでも、立ち直ることはできるのです。そしてそれはいくつになってからでも可能です。

否定的な親から立ち直る方法

まず、次のチェックリストを使って、今の、あるいは、これまでの親の言動をチェックしましょう。該当するところがあるなら、「親が間違ってる」です。

□ ほめてくれない・認めてくれない
□ 話を聞いてくれない
□ 言い方がきつい・親の言葉に傷つく
□ しつこく何度も言われる
□ 否定しないで、と言うと、かえって怒られる
□ 否定しないで、と言っても、改善してくれない
□ 最終的には、全部こっち(子供の立場の人)が悪いことになる

「親が間違ってる」ということは、親に主張しなくても別にかまいません。あなたの中で、「親が間違ってる」と思えればそれで十分。立ち直りへの大きな大きな1歩です。

今現在のことだけでなく、過去に親から言われたことやされたことについても、チェックしてみましょう。そして、チェックがついたら、「親の態度が間違ってたんだ」と思いましょう。そのような気づきが、毒親からの回復にはとても大切です。

毒親育ちの人の中には、少しでも自分に、親から否定・非難・批判されるような点があると、「親が間違ってる」と思ってはいけないと感じられている人がいます。自分に非がないような状態でないと、親に間違ってるとは主張できない、自分にその権利はない、と思えてしまうのです。

それもひとつの「親に洗脳されている状態」です。どんなにあなたに、悪い点があったとしても、「そんな言い方しないで」「そんなに否定ばかりじゃ、こっちも辛いよ」と言っていいのです。そして親は、その点について子供に謝ったり改善すべきです。自分に非があるか否かに関わらず、親の態度は間違ってる、と心の中でキッパリ断言できるようになると、毒親の洗脳はグーンと解けます。

その気持ちを親に直接言ってみることは、決して悪いことではありません。言ってみたいと思ったら、言ってみましょう。でも、言えなかったとしても、自信を失くすことは決してありません。

「否定しないでよ」「そういう態度、間違ってると思う」と親に言えない自分を「弱い自分だ」とどうぞ責めないでください。さらに否定されそうで怖い・・そんな風に感じているあなたは何も悪くありません。そう感じさせている親が悪いのです。「どうせ言っても無駄だ」と親に自己主張することを躊躇してしまうとき、自分が弱い存在に感じられることでしょう。しかし、それもあなたは何も悪くありません。弱い人でもありません。「どうせ言っても無駄だ」と感じられるのは、あなたが、親の反応を予測することができるほど賢い存在である証拠でもあります。

大事なのは、親にわかってもらえたか、ではありません。親にわかってもらなくても、親に言いたいことが言えなくても、自分に自信を取り戻すことはできます。

ある毒親育ちの人は言いました。「私は結局、親には何も言いませんでした。何を言っても、最終的には私が否定されるだけ。言っても無駄だな、としか思えませんでした。でも、言えたか言えなかったか、とか、親にわかってもらえたかどうかは問題じゃないと気づきました。私は、親から否定ばかりされてきた。だから、今でも生きづらさを抱えて生きている。親のせいだ!!・・って毅然と思えるようになったら、不思議と自分に自信が出てきたんです。私は、人のことを頭ごなしに否定したりしない人になろうと決めました。そんな自分になれたことで、十分なんだと納得できるようになりました」。


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