虐待とは？毒親とは？その違いは？ (2)

虐待と毒親の違い

毒親とは、日常的に子供を傷つけて続けている親のこと。「日常的に」という点が、毒親の特徴です。また、「毒親」と呼ばれている親のしていることには、明らかな「虐待」だけでなく、親に悪気がないようなことも含まれます。子供によかれと思ってしていることが、子供にとって「毒」になっていることもあります。 ...

たとえば、しつけが厳し過ぎる親。子供のために、と思ってやっていることが、子供の重荷になっています。親の期待に応えなければ・・と懸命になっているうちに、いつしか「自分のため」ではなく「親のため」に生きるようになってしまう・・といった症状は、毒親育ちの典型です。

たとえば、過干渉な親。子供のためを思って言っていることが、過干渉になっていることに気づかず、子供を束縛し、その自立を阻み、「自分らしく生きる」ことを知らない大人にしてしまいます。

たとえば、思ったことをズケズケ言う親。「背がもっと高いといいわね」・・怒ってるわけでも、罵倒しているわけでもありません。しかし、そんなことばかり毎日言われてたら、子供は自信をなくします。

親の何気ない口癖が「毒」となっているケースもあります。たとえば、「お前には無理だろう」が口癖の親。親からすれば、ただの会話でしょう。子供を傷つけているとは思わないでしょう。しかし、日常的にそれを言われ続けたら、「自分には親を越えられない」と卑屈になっていきます。

「子育て大変」が口癖の親。その言葉に悪意はなく、「大変でも、それでも子供はかわいい」・・という言外の意味が隠れているのかもしれません。しかし、日々それを言われたり、態度に出されたりするうちに、「自分は迷惑な存在だ」と子供には感じらてきたりします。

それらひとつひとつを取ってみれば、「虐待と呼ぶには大げさだ」ととらえられるようなことかもしれません。しかし、小さなダメージも、それが日常的に与えられれば、大きなダメージになっていきます。毒親とは、「毎日、少量の毒を子供に盛り続けているような親」のこと。１回１回の毒は、致命傷にならない量であっても、毎日それにさらされれば、子供の中に大きなダメージとして残るのです。

毒親の問題はとても厄介で、解決しにくい問題でもあります。

毒親の「毒親的行為」は、親の生活習慣や性格、癖のようなものに由来する問題であることが多いのです。子供にネガティブなことを言いがちな親は、他の家族や友人にもそうだったりします。そのような人に、子供にあまりネガティブなことを言わないように、と言っても、もともと人のネガティブな面にしか目がいかないタイプの人であるため、なかなか治りません。

また、親の生活習慣や性格に由来している問題であるために、第三者の介入が、虐待以上にしにくい問題でもあります。毒親の問題に他人が踏み込めば、親の性格や生活習慣にダメ出しをしなくてはならなくなります。だから、どんなにそのことで子供が被害を被っていても、子供の味方になってくれる大人が見つからない。子供は、親元にいる限り、親から「毒」を盛られ続けることになります。

それゆえ毒親育ちの人は「孤独」を感じがちです。どんなに親への違和感を感じていても、それを肯定してくれたり、自分の味方になってくれる人がおらず、親に不満を抱いている自分の方が間違っているのではないか、といった感覚に苛まれます。誰かに話してみても、「親を好きじゃないなんて、親がかわいそうだよ」と否定されてしまったり、「親も本気で言ってるわけじゃないんじゃない？」と親に対する理解や寛容さが足りないと言わんばかりのことを言われたり。それが、毒親育ちの人を２重３重に傷つけ、混乱させ、孤独にしています。

ある毒親育ちの人は言いました。「いっそのこと、体にあざを残すような虐待をして欲しかった。そうすればみんな、悪い親だね、と私のことを同情し、親から守ってもらえたのに・・ずっとそう思ってきました。けなされたり、バカにされたり、私の言うことを頭ごなしに否定してきたり・・私だって辛かったのに、親から暴力を振るわれてる人に比べたら、私なんて・・と人にも言わずひたすら我慢し続けてしまいました。親が間違ってる、私は何も悪くない、と、思えるようになったのは40歳のとき。私は人生の半分を、親に奪われたのだと思ったらショックでしたが、今は気づけてよかったと思っています。子供を傷つける行為は、暴力だけじゃない。誰が何と言おうと、ウチの親は毒親。そう断言できるようになった今の自分は、前よりも自分らしい気がして、前より自分が好きになりました」。

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