うつ病の症状「頑固」の原因と治し方 (2)

意志が強く、目的に向かってまっしぐら・・そんな性格は、社会人になってしばらくの間は、プラスに働いたと言います。しかし、ある重要なプロジェクトチームの一員になり、この人は大きな挫折を経験します。 ...

「チームで協調して動く。チーム共通の目的に向かって働く。それができませんでした」。そんなのおかしいと少しでも思ったら、もうそれはできません。「妥協できないんです」。

チームからどんどん孤立していきました。自分が浮いていることに気づいても、どうすればいいのかわからない・・。朝起きられなくなり、うつ病と診断されました。そして気づいたそうです。「生い立ちが関係しているかもしれない」と。

「自分の父は、おいしいところを全部持って行ってしまう人でした。宿題をしていたら、父がやってきて、手伝ってくれた・・ずっと言われるんです。俺のおかげだろ、って。虫捕りをしても、少しでも父に手伝ってもらったら、俺のおかげ、ということになりました」。

この人は、親に手伝ってもらったり、助けてもらったり、甘えることが、小学校に入る頃にはすでに大嫌いだったと言います。

「父と話をしていても、一言でも『わかった』と言えば、どうだ、俺っていいこと言うだろ、とずーーと威張られるんです」。誰の言うことも聞きたくない、自分ひとりでやってやる、誰にも助けてなんか欲しくない・・どんどん頑固になっていったと思います。

この人は、それに気づいて変わりました。「自分にとって父は、脅威でした。でも本当は違ったんです。父は弱い人間です。子供に威張ってなきゃ自分が保てない弱虫です。何も恐れることなんかなかったのに、そんな父親に翻弄されていました」。

自分は父親のようにはなりたくない、と思ったそうです。「人に助けを乞える人は、弱い人じゃない、強い人だ・・まずそこから変わろうと思いました。人の助けを自分の力にして、強くなりたいと思いました」。上司と相談し、しばらくの療養後、仕事復帰を果たしました。

「自分は、自分の意見をしっかり持っている方だと思います。でも、これからは、人の意見も聞こうと思います」。みんながみんな父親のような人じゃない・・と自分に言い聞かせると、人の話がスーッと自分の中に入ってくる感じがあると言います。

「この前、『そういう考え方もあるね。気づかなかったよ』ってはじめて人に言えたんです。すごく清々しい気分でした」。この人のうつは、確実に快方に向かっています。

うつ病の症状 「頑固」の原因と治し方 (2)