「意地っ張り」を直す方法 (2)

「意地っ張り」を直す方法 (2)

意地っ張りな性格が、すっかり直ったという人がいます。 ...

「子供の頃から、意地っ張りでした。でもそれは父が原因でした」。そう語るこの人の父親は、強引な人だったと言います。

「父は、私のしていることを何でも横取りしました。そして自分の手柄にしたがりました」。楽しいはずの夏休み。虫捕りをしていると、父親が「ちょっと貸せ」と道具を横取りしたそうです。「そして言うんです。『どうだ、お父さんが獲ってやったんだぞ』って。私は『ありがとう』『お父さんすごい』と言わされます」。

こんなことは日常茶飯事だったそうです。絵を描いていると、「お父さんが仕上げてやろう」と、最後に加筆してしまいます。工作も。夏休みの自由研究も。この人は言います。「下手でもいいから、間違っていてもいいから、自分ひとりの力で完成させたかった。だからだと思います。私は、父が側に寄って来ると、父が何か言う前に『いい』『ひとりでできる』と突っぱねました」。

ときには有益なアドバイスもあったかもしれません。間違えを指摘してくれていたかもしれません。しかし、子供だったこの人に、それを受け入れる気持ちの余裕はもうありませんでした。「人の意見を聞くことや、人に手伝ってもらうこと、間違えを指摘されることは、敗北だとしか思えなくなってしまいました」。この人は、意地っ張りな性格のまま大人になりました。

「私には、自分の間違えを認める、ということが怖くてできませんでした。だから、間違えないにして生きてきたようなところがあります。人と話しても、失言しないようにばかり気を付けていて、楽しくありませんでした」。この性格を直そうと思っても、どうにもならなかったと言います。

長く生きづらさを感じてきたというこの人。変わったのは、付き合っていた男性の影響だと言います。「彼は、父とは間反対の人でした。私に干渉せず、でもいつも私を見守っていてくれるような人でした」。意地っ張りなところも、決して否定しなかったと言います。「久しぶりに実家に帰って、気づいたんです。あの父親は、はっきり言ってウザいです。父は、私に干渉し過ぎだと思いました」。

この時を境にこの人は変わりました。生きづらさを感じるたびに、「ひょっとして父親のせいではないか?」と考えると、思い当たることが次々出てきたと言います。「私には、人が自分にはないアイディアや考えを持っていると妬ましく感じられるようなところがありました。いいアイディアだね!って素直に思えないし、言えなかったんです。父が原因だと思います」。

生きづらさを感じたり、意地っ張りになっていることに気づいたら、自分で自分にこう言い聞かせるようにしたと言います。「ここには、あのバカおやじはいない。私のしていることを横取りして、私よりうまくできたことを自慢して、勝ち誇ったような顔をする人は誰もいない。だから大丈夫・・。不思議と、気持ちが落ち着くんです」。

あれから3年。あのとき付き合っていた彼と結婚し、意地っ張りな性格も、すっかり影を潜めたと言います。「私はもともと意地っ張りな性格ではなかったんだと思います。人の性格は、一緒に暮らしている人に、こんなにも影響を受けるものなんだな、とつくづく感じました。親のせいにするなんて、と言う人もいます。でも私はそうは思わない。正確な原因を特定するからこそ、正しい対処ができる。先に進めるんだと思います」。


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