ヒステリーな母親。子供への影響と対処法 (2)
ヒステリーを起こされたら、その場から離れるのが最良です。自分の部屋がある人は、自室にこもりましょう。部屋の外から、ヒステリックな声が聞こえてきて辛かったら、イヤホンをして音楽を聴きましょう。本や漫画を読むなど、別の世界に入るのも◎です。 ...
その場から離れることが許されないときには、どうしたらいいでしょうか。違うことを考えていましょう。これが終わったら、何しようかな、何食べようかな、とか。週末、何して遊ぼうかな、とか。
ヒステリーだったとしても、親は親・・親の言っていることは聞かなければいけないんじゃないか、と思う人もいることでしょう。普通の親は、子供に聞いて欲しいことがあるなら、それなりの言い方をします。親だからといって、どんな言い方をしても許される、ヒスを起こしても許される、というものではありません。子供の側に、叱られるような点があったとしても、それはヒステリーを起こした理由・言い訳には全くなりません。
「お母さんが怒ってるのは、××だからだよ」とか、「こういうことは、しちゃ駄目なんだよ」と母親が言い、「なんで?」と子供が言えば、ヒスを起こさず答えてくれる。これが普通の親の対応です。「わかった?」と聞かれ、「わかった」と答えれば、ニッコリ笑って、いつもの母親に戻ってくれます。感情的に怒ったりわめいたりはしません。子供が「わかった」「ごめんなさい」と言ってるのに、ダラダラしつこく怒り続けたりはしません。
ヒステリーを起こしている親から、何か学ぶことがあるとするなら、「もっと別の言い方をした方がいいんじゃないかな」ということです。「何でこんな言い方しかできないんだろう?」「もっと冷静に話をしてくれればいいのに」「そんな言い方したら、聞く気がなくなっちゃうよね」。そう思っていいのです。「どんな言い方をしてくれたら、自分は聞く気がするだろう」とあれこれ考えてみるのは、とても有益です。そう考える人は、人に対してヒスを起こす人にはならなくなります。
しかし逆に、ヒステリーを起こしている親に理解を示そうとしたり、自分にもその原因の一端があるのかも、と思ってしまう人は、心を病んだり、その人自身もヒスを起こすようになります。親のヒステリーを肯定することは、自分のヒステリーも「このくらい許されるだろう」と肯定してしまうようになるからです。
「母は、ヒステリーでした。そして私は、心を病んでしまいました」。そう語る人がいます。
「母は、よくヒステリーになりました。父は、そんな母を無視していました。母は、父に無視されて、ますますヒスが収まらなくなっているように私には見えました。私は、そんな母に、同情してしまいました。『お父さんがいけないんだ。あんなにお母さんのこと無視して。だからお母さんは怒っちゃうんだ』って」。
そしてそれは、この人をさらに悪い方向へと向かわせました。「私は、母親のヒステリーを収めるようになりました。母がヒステリーになったら、『ごめんね』とか『私が悪かった』とか言うんです。私には、弟と妹がいました。私が悪者になることで、弟たちを怖がらせないで済むのなら、喜んで私が悪かったということにしよう、と思っていました」。
母親がヒスを起こすと、むしろ張り切ってしまったというこの人。「母のヒステリーを収められるのは私だけだ、という妙な自信を持ってしまいました。私は、完全に『共依存』だったと思います」。共依存とは、問題のある人をフォローをしているうちに、そういう人としか付き合えなくなってしまうこと(自分に依存してくる人に、依存している状態)。「私は学校でも、友達のいない子とか、嫌われがちな子とか、そういう子とばかり仲良くなりました。そういう子を救ってあげて、自分を満足させていました」。
優しい子だ、面倒見のいい子だ、とむしろ大人からは高評価だったそうです。しかし、心は病んでいました。「人間関係が長続きしないです。さびしそうにしている人とは付き合えるけれど、その人に他の友達ができると、自分が『用済み』になった気がして、仲良くしたくなくなります。裏切られた気さえします」。その生きづらさの原因が、母親のヒステリーにあることに気づいたのは、35歳のときでした。
共依存から回復した今、この人はこう言います。「母は、自分のヒステリーを自分で治そうとしなくちゃいけなかったと思います。自分のイライラは、人に解消してもらうものじゃない。それに気づいて、私自身も変わりました。私も、さびしそうな人とか、ちょっとかわいそうな人を利用して、自分の不安とか孤独感を満足させていたと思います」。
音楽を聞いたり、本を読んだり、趣味を持ったり。リラックスタイムを持つことの意味を、42歳にして初めて知ったと言います。「リラックスタイムのある人って、メンタルの強い人なんですね。嫌なことがあったり、不安や孤独を感じたとき、自分で自分を癒すことで、自分の気分を変えられることを知りました。母から受けてきたダメージも、最近やっと癒せてきたんじゃないかな、と思うんです。母に苦労させられてきたこれまでの人生だったけれど、私は母とは違う。母とは違う人生を歩めると信じています」。
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