認知症?精神病院に長期入院した高齢父。その全記録

認知症?精神病院に長期入院した高齢父。その全記録

ハサミを振り回して警察沙汰->精神科入院。介護はある日突然やってきた

介護は突然やってきます。「そうなんだろうな」と思ってはいたけれど、実際そうでした。父85歳、母80歳。いつ介護問題が発生してもおかしくない年齢です。しかしそれはあまりにも突然。何の前触れもなく、予想だにしなかった出来事から私たち息子夫婦の介護生活が始まりました。 ...

一時は「ウチで引き取らなければならないのか?!」と最悪の事態にもなりかけましたが今では落ち着き、行政の支援を受けながら両親はそれなりに自立した生活を送っています。一段落した今思うこと。それは、介護など、覚悟していても準備していても何の役にも立たない!ということです。どんな病気や症状で介護状態に陥るのかは、誰にも予想できず、またその病状や症状も千差万別。しかも病院だの、行政だの、介護保険だの・・いろいろな人が関わってきます。いい人に担当していただけて「救われた」と思うこともあれば、「ハズレだった・・」と思わざるを得ない担当者に振り回され、憤懣やる方ない気分になることもあります。

だからこそ、自分の経験を公開したいと思いました。「こんなケースもある」というだけの情報でも、似たような状況に置かれている人のお役に立てるかもしれないと思うからです。これを書いている私は嫁の立場で、夫はひとり息子(きょうだいはいません)。ここに登場する両親は、正しくは「義父」「義母」ですが、ここでは父、母と書きます。夫の同意を得た上で、精神病院への入院から退院、それに続く介護保険サービスを利用しての高齢両親の自立生活について、自分たちが経験したことのすべてをここに記録します。

父の病状

両親は、東海地方に住んでいます。ひとり息子である夫と私は東京暮らし。母から「お父さんが入院した」と連絡があったのは、精神病院に入院した翌日のことでした。

母いわく「お父さんの様子が数日前からおかしく、物を壊したり、ハサミやモノサシを振り回したり暴れて手がつけられなくなった。助けに呼んだ親戚のYさんを殴って怪我をさせた。警察3人がかりでやっと取り押さえて、そのまま精神病院に収容された」ということでした。「警察?」「精神病院?」「家の中がメチャメチャ?」・・予想だにしてなかった介護のスタートでした。

認知症?の発症

時系列に並べるとこんな感じになります。

<11月29日> 父、未明に突然震えだす。体が冷え切っていたため、これはおかしいと母が救急車を呼ぶ。地元の総合病院(精神病院ではありません)に入院し検査したものの特に異常はなかったとのことで、翌日に退院。

<11月30日> 退院した日の午後から父の様子がおかしくなる。ひとりの世界に入り込んで、わけのわからないことをブツブツしゃべり始める。

<12月1日> 父の様子がさらにおかしくなる。「家にネズミが居る」と言い、ハサミを持って探し回る。母が止めると怒り出す。

<12月2日> 父の様子がさらにおかしくなる。洗濯物を抱えたまま入浴する。部屋のゴミ箱におしっこをする。窓を割って外に出ようとする。食器やキャシュカードなど、手当たり次第に物を投げたり壊す。ハサミやモノサシなどを振り回す。近所の人の車を叩く。困った母が、父の親戚の男性(高齢)に来てもらったところ、動物のように唸り睨み、その男性を殴って怪我を負わせ、警察に通報。警察官3人でやっと取り押さえられ、警察で事情聴取。その後、地域唯一の精神病院であるS病院で診察を受けたものの病床に空きがなく入院できず(前日の急患で満床になったとのこと)、翌未明、隣市の精神病院「A病院」(イニシャルではありません)に救急車で搬送され入院となりました。

医療保護入院

父の入院は「医療保護入院」というものでした。初めて知りましたが、入院には「任意入院」「医療保護入院」「措置入院」の3種類があるそうです。お医者さんから入院を勧められたり促されたりして本人が同意した上で入院するのが「任意入院」なら、「措置入院」は、知事や市長などの命令によって強制的に入院させられるもの。

一方「医療保護入院」は、入院の必要があるものの本人の同意が取れないときに、保護者の同意によって入院させることができる入院方法なのだそうです。錯乱状態の父。母の要請での入院でした。


これは入院時に病院からもらった書類です。「医療保護入院」とあります。

こんな入院のさせかたがあるのか?!と初めて知りました。正直言って・・「裏ワザだ」「ラッキーだった」と思いました。父には元々、気に入らないとすぐ怒ったり暴力を振るったりするところがありました。いわゆるDV夫であり毒父。高齢になるずっとずっと前、それこそ夫が子供の頃から「どうにも手に負えない人」だったのです。

「おやじはおそらく、このまま一生精神病院暮らしだな」と夫が言い、母、私、夫3人そろって安堵しました。手に負えないからといって「施設に入ってくれ」なんてとても父には言えません。そんな父を、警察が精神病院に入れてくれたのです。はっきり言って「厄介払い」できた気分でした。そんな私たち夫婦にも、父への思いやりの気持ちはわずかに残っていたようで「家に帰れなくて寂しいとかそういうことも感じないくらい気が狂ったまま逝ってくれれば・・」などと話しました。(ここから2転3転あるのですが・・)。

入院した精神病院について

父が入院した病院は、東海地方、某県某市の精神科病院。精神科や認知症などだけで、6つ以上の病棟、400近い病床を持つ大きな精神病院です。

精神病院の保護室(隔離室)

父が入院したのは、「精神一般病棟(閉鎖病棟)(男性用)」。その中にある「保護室」でした。保護室とはいわゆる「隔離室」で、家族も入室禁止。強化ガラスの窓ごしに、保護室内の様子が見えるようになっていたそうです。

部屋にはトイレしかありません。それでさえ、病院から「トイレを置いてもいいですか?」と聞かれ書面にサインをしたそうです。自宅で錯乱していたときにも、「ネズミがいる」と言って家のトイレを壊そうとしていた父。「そんな患者は珍しくないのだな」と思いました。保護室内にトイレを置き、それを破壊し患者が怪我をして・・といった問題が起きたときのために書面にサインにさせられるのかもしれないな、と思いました。

入院・治療の見通し


これは入院時にもらった「入院診療計画書」です。

病名:認知症疑い
症状:幻視、興奮状態
治療計画:入院して薬剤調整を行います。
検査内容及び日程:採血、胸部X線、頭部CT、心電図など必要に応じて行います。
推定される入院期間(うち医療保護入院による入院期間):11ヵ月

その他、「安全に病棟生活が送れるよう援助する」「適切な薬剤調整、環境調整にて早期の退院を目指します」といった文言も見えます。

ここに書かれている「推定される入院期間」は11ヵ月。「退院したくてもできない状態なんじゃないかな」と思いました。11ヵ月どころか、このまま一生精神病院暮らしになるのは確実だろうと思いました。ハサミを振り回したり、人に怪我させたり。警官3人でなきゃ取り押さえられなかったほどの暴力。社会生活に戻るのは、とてもとても無理だろうと思ったのです。

しかもこの病院には、父が入院した「閉鎖病棟」だけでなく、普通の「精神病棟」もあります。閉鎖病棟から出られたとしても、その後一般精神病棟に移り、病状が落ち着いていることを確認してから退院になるのが普通ではないのか(そうでないと困る!)と思っていたのです。だから3ヵ月で強制的に、何の説明もないまま、無理やり退院させられそうになり、4ヵ月で治ったのか治ってないのかさっぱりわからない状態で閉鎖病棟から退院することになるとは、夢にも思っていませんでした。この顛末については、のちほど詳しく。***

担当医について

父の担当医は、M先生(イニシャルではありません)。母いわく「若い先生だ」とのことでした。この先生、驚くほど患者家族に説明をしてくれない。というか、会ってもくれないし、電話さえできない。診療明細書には、山のような検査項目が記載されていましたが、結果についての説明は最後までひとつもありませんでした。どんな薬を飲んでいるのかの説明も一度もありませんでした。今後の見通しどころか、病名すら聞き出せません。母が支払いなどで病院に出向いたときにも担当医との面談はかなわず、「先生と話がしたい」と直訴すれば、「担当医から電話させる」と言ったきり、約束の時間になっても電話が掛かってこないことが何度もありました。

大変失礼ながら「この先生、ひょっとして対人恐怖症?」と思ってしまいました。こんな医者、見たことない(少なくとも私と夫と母は)。最後には「この人、本当はお医者さんじゃないのかも。研修医とか、代理とか。だからしょうがないのかも・・」とさえ。そうとでも思わなければ、やってられない気分の4ヵ月でした。

父の病名

父の病名がわかったのは、ひょんなことがきっかけでした。ナント認知症ではありませんでした。 [...]


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