【認知症父の入院3】精神病院入院中の要介護認定申請
要介護認定、入院中に受けておいてよかった!その理由・メリット
これは、[認知症父の入院2] からの続きです。
「ネズミがいる」と幻覚を見ながら錯乱状態でハサミを振り回し、人を殴って怪我をさせ、精神病院の閉鎖病棟に医療保護入院させられた父。危うく3ヶ月で退院させられるところでした。「要介護認定の判定が下りるまで入院させておいてくれないと困ります」と病院に主張しなんとか、「要介護認定が下りるまで入院」となりました。
要介護認定審査の申請
母は、病院から「介護認定が下りるまで入院」を取り付けた後、すぐに市役所に行き要介護認定審査の手続きをしてきました。両親が住んでいるのはT市。入院しているのはG市。このような場合、両市が連携し、入院しているG市の介護認定判定員の方が病院に出向き、介護認定のための面談などを行う仕組みになっているのだそうです。 ...
実際に、入院中の父が判定員の方と面談したのは、要介護認定審査の申請から2週間ほどたった3月10日頃。入院4ヵ月目のことでした。
繰り返された「しっかりしておられます」
母が市役所で要介護認定審査の申し込みをしてきてから、実際に判定員の方が父の入院先に来て面談するまでには2週間ほどかかりました。この間母は、病院側から不可解なことを言われ続けました。Fさん(病院との窓口になっていた人。「退院後生活環境相談員」だと後日判明)から、「しっかりしておられます」「落ち着いておられます」と繰り返し繰り返し・・しつこいくらいに言われ続けたのです。「ちゃんと動けています」とか「洗面、排泄ひとりでできています」とも。
違和感を覚えました。この時点で母は、担当医から一度も説明を受けていないどころか、病名さえ知らされていません。私たち患者家族が病院に期待しているのは、検査結果や容態、病名など、医療的な説明です。介護が必要な状態かどうかは、要介護認定の調査員や審査会が判断することで、どうして病院側から「排泄、洗面ひとりでできてる」みたいな報告をしつこくされなくちゃいけないのかわかりません。それはまるで、要介護認定の申請を取り下げるよう、間接的に説得されているようでした。(実は、本当にそうだったんじゃないか、父が要介護認定を受けることは、病院にとって不都合なことだったんじゃないかと思わざるを得ないような展開がこの後待っています。)
しかし正直なところ、私はそんなFさんの話に洗脳されかかっていました。母から「また言われた。お父さん、ホントに治ったのかも。要介護どころか、要支援も難しいのかも。自立判定(デイサービスなどの介護保険サービスが利用できない状態)しかでないかも」といった報告を受けているうちに、「お父さんは、医療も介護も必要ない状態? それなのに、私たち家族がやれ介護だの、退院させるなだのって大騒ぎしてるだけ?」と感じられ、正直なところ弱気になっていました。実際父は、入院4ヵ月目に入った頃から「元通りのお父さん(DV夫であり毒父)」に戻ってきていました。やたらと偉そうに母に「同室の人とか、世話になってる看護師さんに渡すんだ。土産持ってこい!」などと言ってきたり、「プロ野球の開幕までに退院させろ。迎えに来い」と退院日を指定してきたり、違った意味で母を煩わせ始め「元通り」になってきていたのです。
「私たちは、治療どころか、介護さえ必要のない状態の父に、要介護判定を受けさせようとしている裸の王様?!」。しかし、今思えば、取り下げたりしなくて本当によかったです。
募る病院への不信感
父が、要介護認定審査の面談を受けた日、Fさんは、電話で母にこう連絡してきました。「今日、面談がありました。しっかりして受け答えされていました。ちゃんと動いておられました」と。母は改めて思ったそうです。「自立判定しかでないだろうな」と。
しかしその後、父と面談をした介護認定の調査員の方からも電話をもらい、その人は違うことを言いました。「ご主人は、『母ちゃんは、浮気してるんじゃないかと思ってる』とおっしゃっていました」と。背筋がゾッとしました。母は「私が浮気?妄想めいたことを言って・・。まだ治ってないんじゃないの?!」と言いました。私たち夫婦も「お父さん、まだおかしくない?!」と不安になりました。
しかしもっとゾッとしたのは、父のその「妄想発言」を、調査員の方が母に伝えてくれなかったら、私たちはその事実を知らないままだったということです。よくもまぁ「しっかりして受け答えされていました」なんてFさん母に報告してきたな、と思います。「この病院は、退院の妨げになるような情報を、患者家族に隠しているんじゃないかな」と、病院への不信感が最高潮に達した瞬間でした。
Fさんの正体は「退院後生活環境相談員」
この頃まで私たち(母、夫、私)は、Fさんのことを、父の担当の看護師さんだと思い込んでいました。(すっかり騙されていました。)
この1件以来、Fさんへの不信感が決定的になった母は、面会時にFさんに直接聞いたそうです。「Fさんは、どういう肩書きの方なんですか?」と。「相談員です」と答えたそうです。それを聞いた私は、「ケースワーカーさん?」と思いました。しかしどうも違うようです。私は母に聞きました。「Fさんの言うことは、患者や患者家族の味方になってくれてはいないようだけど、病院寄りの人なの?」。そうだと母が言いました。「ひょっとして院長婦人だったりして~!」。場を和ませようと冗談めかして言った私の言葉に、母はだまって何度も頷いていました。院長婦人ではないと思いますが・・そうであったとしてもおかしくないくらい、病院側の主張ばかりを繰り返す人だという印象だったようです。入院時に病院からもらった書類を見直すと、そこにFさんの名前がありました。Fさんは、医療従事者ではなく、「退院後生活環境相談員」だったと気づきました。
ずるいな、と思いました。入院直後から「退院相談員」を患者家族の窓口として仕向けるなんて。しかも、「どういう肩書きの方なんですか?」と母に聞かれたとき、どうして「退院後」の部分を省いて「相談員」って答えたの? 「退院後相談員」って言ったら、「早く退院させる係」だとバレちゃうからなんじゃない? 「正直に、退院後生活環境相談員ですってどうして答えないのよ!」と私は憤りを隠せませんでした。
突然の「退院しないでください」
病院への不信感はさらに決定的なものとなります。
父が要介護認定の調査員の人から面談を受けてしばらく経った頃、母はFさんから突然言われました。「退院しないでください」。「今さら何言ってるの?」と思いました。あんなに退院をせかしてたのに。あんなに父にはどこも悪くない、何もすることはない、と言っていたのに。突如「入院していてください」と言われました。
Fさんは言いました。「ひざが悪くひとりで入浴ができない状態なので、退院後、デイサービス(介護保険サービス)に行って入浴させてもらってください」。ひざが悪い? ひとりで入浴できてない? 初耳です。「父には何の問題もないようなことばかり言ってたのに。父がひとりで入浴できていないこと、Fさん把握してなかったの? 知らなかったのだとしたらずさんだし、隠してたのだとしたら悪質だよね?!」。
この時点では、母のところに要介護判定の結果は来ていません。(病院のある)G市、もしくは、(両親が暮らす)T市の介護保険の担当者から病院側に、ひとりで入浴できない患者をまだ退院させるな、デイサービス(介護保険サービス)が利用できる状態になってから退院させろ、とストップがかかったんじゃないかな、と思いました。そうとしか思えませんでした。その証拠に、この病院は、手のひらを返したようにこの頃から、やたらと母に親切になりました。
車がなく退院の交通手段を持たない両親に、病院が「家まで送る」と言い出しました。「前例がないことはないので・・」と原則を曲げてまでの大サービスだったようです。介護タクシー業者をあたるか、私たち息子夫婦が仕事を休んで車を出すか・・と具体的に動き始めた矢先のことでした。病院への不信感が募りに募っている私には、「行政から睨まれるのがよっぽど怖いのかな。だから急に親切になったのかな」としか思えませんでした。
介護認定。結果は「要介護1」!!
父の要介護認定、結果は「要介護1」でした。この数週間、散々Fさんから「しっかりしておられます」と言われ続けていた母は、結果を見るまで「よくて要支援、おそらく自立しかどうせ出ない」と思い込んでいたようでした。父は今、週に2日、デイサービスを利用し、入浴介助を受けられています。
介護保険サービスは、思ってたよりちゃんとしていた!
要介護判定は、とても中立公平になされてるんだな、と思いました。もしも調査員の人が、担当医やFさんの話だけを鵜呑みにして「調査結果」としたなら、父はまず間違いなく「自立」判定しかでなかったでしょう。判定員の方は、実際に父の世話をしてくれている看護師の方に、直接話を聞いてくれたのだろうと思います。そしてその看護師さんも正直に「入浴に介助が必要な状態です」ということを言ってくださったのだろうと思います。病院の良心が唯一感じられた出来事でした。父のひざが悪いことや、自分の体を支えられないこと、ひとりでの入浴が危ないこと、ちゃんと証言してくださった看護師さんに心から感謝したいです。
両親は今、デイサービスや入浴介助といった介護保険サービスを使いながら住み慣れた町で暮らせています。看護師さんのその証言がなかったら、今の生活はなかったかもしれません。その上母は、病院側から「介護認定受けたいなんて大騒ぎして居座った癖に、結局、介護なんて必要なかったじゃない!」と単に「入院してる必要もないのに、退院を渋り続けた患者家族」としてさらに辛い立場に追い込まれ、冷たい態度を取られていたに違いありません。
しかし、これでは終わりません、。病院への不信感は、ここから退院する日まで払しょくされるどころか、蓄積され続けました。今までとは180度違うことを言い出しました。 [...]
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