精神病院がこんなに酷いところだとは思わなかった (2)

担当医との面談が実現しても、検査結果や病状の説明は最後までありませんでした。言われたことは「再発するかもしれないので、〇〇精神病院に、この紹介状を持って行ってください」それだけ。それでも母が、病状について詳しく聞きたいと食い下がれば、「〇〇病院に行って主治医を作っておかないと、再発したときに、ここよりもっと遠い病院に入院させられて、困ったことになるんですよ」と逆ギレ？！　意味わかりません。退院後も精神病院に通院しなければならない理由は、父の病状ではなく、主治医を自分ではなく〇〇病院の先生にしておきたいからなんじゃないか・・そう思えてきます。 ...

なぜそんなに担当医が会って話をしてくれないのか不思議でならず、私など「この先生、対人恐怖症？」などと真剣に思っていたのだけれど、精神科病院は自傷他害の患者には冷たいという話を聞き、「そういうことか」と思いました。医者が患者や患者家族に発する言葉は重い。後々父が、再びハサミを振り回して誰か傷つけちゃったとか、そういうことがあったとき、責任を取りたくない。だからできるだけしゃべりたくない、そういうことだったんじゃなかろうか、と思えてきました。

要介護認定を申請取り下げられそうに

ちなみに母は、退院後の生活に必要だからと、父に要介護認定を受けさたのだけれど、なんだかそれも、病院から阻止されていた感があります。

申請後、母は病院側（退院後生活環境相談員）から、繰り返し「しっかりしておられます」「ちゃんと動いておられます」「洗面・排泄できてます」などと、要介護認定など受けても無駄だと言わんばかりのことを言われ続けました。母など、ホントに自立判定しか出ないかも、と父を施設に入れようと思っていたのに諦めてしまったくらいです。

結果は、「要介護１」。ひとりで入浴できていない状態だとのことで、デイサービスで入浴介助を受けることになりました。ひとりでの入浴が危険な状態であることは、病院も把握しているはずで（だからこそ要介護１になった）、その事実を母に隠していたことになります。酷い話だと思います。

要介護認定の調査を受けたくなかった？

入院中に要介護認定の審査を受けるということは、担当医は、父の病状や予後について調査員の人からヒアリングを受けたり意見書を提出させられたりすることになります。父が要介護になりデイサービスを受け始め、ハサミ振り回しちゃったら？　誰か傷つけるようなことをしちゃったら？　その責任を取りたくない。だから、要介護認定を父に受けさせたくなかったのでは？と思えてきます。

その証拠に、この病院は、私たちには治療どころか介護さえも必要ない状態であるかのようなことを言っていた段階で、調査員の人に、あたかも父が再発必至の精神病患者であるかのようなことを言い、「退院後は近くの〇〇精神病院を受診予定」と伝えていました。市の福祉課の人とか、介護サービス関係の人とか、みんなそう思っていて、「何でそんなことになってるの？」と驚いたし困ったし、頭にきました。

父は要介護１で、今はデイサービスに通っています。精神病院には行きませんでした。それはなぜなのかは、父の病気（せん妄）の原因がわかったからです。

父の病気の原因は

父の病名は、「急性一過性精神病性障害」でした。医療保険提出用の診断書や、退院時にもらった書類にはそう書いてあるのに、担当医は、そういう病気です、とは一度も説明してくれませんでした。しかし、病名がわかってみれば、原因もすぐわかりました。

父は発症の直前に、お兄さんが危篤になった、という知らせを受けています。そのお兄さんは、父にとってたったひとりの兄弟で、父親がいなかった父にとって、父親のような存在でもありました。近所に暮らし、毎日のように顔を会わせていました。私は以前からふたりの強い絆を見るたびに、「お父さんは、おじさんが亡くなったら、後を追うように逝っちゃうかもな」と思っていました。実際父は、危篤の知らせを聞いただけで正気ではいられなくなったのだと思います。

おじさんは、父の入院中に亡くなりました。３ヵ月目までは、おじさんの話を避けていた感のある父でしたが、４ヵ月目に入ると父は自分から「兄貴が死んだのは１２月だったかな」などと母に言うなど落ち着きを取り戻してきました。ネットの情報によれば、急性一過性精神病性障害は、３ヵ月ほどで落ち着くことが多いとのこと。実際父もそうだったんだなと思います。

もちろんのこと主治医の先生から、何かありましたか？きっかけは？とか、そんなことを聞かれたことはありません。父は85歳の高齢です。「認知症が原因」と決めつけられたかも。その証拠に、父は入院中ずっと認知症の薬「レミニール」の飲んでいました。父が認知症なのかは甚だ疑問です。だいたい、病院側からはさんざん「しっかりしておられます」などと言われ、認知症らしき言動を指摘されたことないわけだし。父も、以前の父と変わらない。ボケてると言えばボケてるけど、昔からボケてる。変らない。

精神科は思っていたところとは違っていた

素人的に私は不思議でしょうがない。「何かありましたか？」とか聞かないの？　そこに関心ないの？　それ聞かないで、精神科の治療ができるの？　お医者さんがすることは処置とか投薬とかそういうことだったとしても、肉親の死がそこに絡んでいると知ったら、カウンセリングが必要とか、家族の接し方も重要とか、そういうことになるんじゃない？　完全に治らなかったとしても、そういうアドバイスを病院からもらえたら、家族はどんなに助かるだろうと思う。

いや、治療なんてどーでもよかったんだよね。他害の過去を持つ父は、この病院にとってヤバイ患者で、早く退院して欲しかった、ただそれだけ。いいお医者さんだっていると信じたい。でも、今回の経験は100％気分悪いです。嫁いびりなどされた嫌いな父なのだけれど、今回のことに関しては、そんな扱いを受けた父が気の毒でならない。しかし・・あの病院のこんな裏の顔を知ってるのは患者家族である母と夫と嫁である私だけで、父はまーったく知らないのだけれど。