老親に認知症や寝たきりになったらどうして欲しいか聞いてみる (2)

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経済状態について尋ねる

「次に、色々な場合に備えてのお金はあるのでしょうか？ ...

1. お父さん、お母さんは、それぞれ年金を月額いくら位もらっているのか？

2. 生命保険(死亡保険等)はかけているのか？　かけていれはいくらのものなのか？

3. 貯蓄はいくら位あるのか？　大まかでいいので知っておきたいです。「なければない」とはっきり言ってください。」

夫に先立たれた場合

「最後は、もしお父さんに先立たれ、お母さんが一人残ってからのことです。

1. お父さんの葬式とか納骨のことについて具体的に。（費用面も含めて考えていることがあれば）

2. その後のお母さんの暮らしについて
　・どこで暮らしたいのか？（今の家？　生家？　東京？　老人ホームなどなど）
　・ひとりで暮らすのか？　　知らない土地だけどこっち（東京）で同居したいのか？　親戚・友人と一緒に暮らすみたいなプランや希望があるのか？
　・生活費は大丈夫なのか？　お父さんの死後、遺族年金がどのくらいもらえるかとか把握しているか

3. お母さんが入院したり介護が必要になったりしたとき、どうして欲しいか？　どんな希望があるのか？ 「生前の意思表示」というものです。どこにいたいとか、どうしたいとか？どうして欲しいとか、本人の意思がうまく確認できない時に役立つものです。どんな内容でも構わないので教えてください。

4. お母さん自身の葬式とか納骨等についてどんな希望があるのか？　お父さんと同じところとか、生家にとか。私はもう地元を離れて久しいので「しきたり」「宗派」もなにもわからないし、誰かにお願いしたいとか、希望があれば教えてください。」

生前の意思表示

「参考までに私は認知症になった時や植物人間の状態になった時のために、法的な効力のあるものではありませんが『生前の意思表示』として以下のような内容の書類を〇〇ちゃん（妻）に渡しています。

く任意後見の希望＞
認知症等により自分自身で判断することが難しい状態になった場合は、配偶者である〇〇〇〇（妻）の判断を尊重します。

く尊厳死の希望書＞
①私の傷病が、現代の医学では不治の状態であり、既に死が迫っていると診断された場合には、ただ単に死期を引き延ばすためだけの延命措置はお断りします。
②もしくは、食べ物を食べることができない状態になったり、自発呼吸もできないような状態で回復が見込まれない場合も、治療及び延命措置は希望しません。
③治療により無意味に延命することは望みませんが、私の苦痛を和らげるため、麻薬などの適切な使用による十分な緩和医療・措置は行ってください。
④私が回復不能な遷延性意識障害（持続的植物状態）に陥った時は生命維持措置を取りやめてください。
⑤私の要望に従ってくださった行為一切の責任は私自身にあります。そして、私の要望を忠実に果たしてくださった方々に深く感謝申し上げます。

xxxx年xx月xx日自署　＜サイン＞

」（手紙ここまで）

老母からの返事

約２ヵ月後、母親から返事をもらったそうです。母親の希望は「最期まで住み慣れた町で暮らしたい」でした。

頼りにしている人として、母親は遠縁にあたる女性の名前をあげました。初めて聞く名前だったそうで、聞いておいてよかったと思っているそうです。

また夫が先に亡くなった後も、今の住居でひとり暮らしをしたいという希望をはっきり持っています。しかし、今後どこか介護施設に入所しなければならないときがきたらここに入りたいと、地元の介護施設の名前をあげました。実際には常に満員状態で、その希望通りにはならない可能性も高いですが、とりあえず、遠方の息子夫婦に引き取られることは、母親の希望でないことは確認できました。

父親の急な入院で現実味をおびた親の介護問題

この手紙から２年も経たない間に、突然父親が倒れ要介護となり、この老夫婦にも「介護生活」が始まりました。父親が倒れ入院したとき、「引き取らなきゃ無理かな」とも思える状態にもなりましたが、事前に母親の希望を聞いていたために、最初から、住み慣れた町で両親が暮らし続けるためにはどうしたらいいか、という１点に絞って対処をし、現在は、地元の病院に通院しながら、デイサービスなどの介護保険サービスを利用して老夫婦ふたりで生活しています。

手紙にすることのメリット

この人は、言います。面と向かってはなかなか聞けないことも、手紙なら聞けると思った、と。「早く亡くなって欲しいと思っているわけでもなく、引き取りたくないと思っているわけでもなく、最期までお母さんの希望や意思を尊重したいから」。その気持ちが伝わるように、何度も書き直しながら仕上げた手紙だと言っていました。

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