抱っこ紐。親の手がぶらぶらしてる。それがわからない (2)
私には、8歳年下の妹がいます。妹が生まれたとき私は小学生で、母の子育てを客観的に見てきたようなところがあります。 ...
母は、買い物に行くとき、妹を抱っこ紐で胸に抱いていました。いえ、抱っこしてたんじゃない。抱っこ紐で縛っていただけ。母の手は、いつでもブラブラしていました。妹を、自分の体に縛り付けているだけ。妹がまるで「荷物」みたいに感じられました。
親がいても寂しい。その原因
母はいつでも自分のことしか考えていないような人で、私は母に気に掛けてもらっていると感じたことがない。いつ何をしていても寂しさを感じているような子供でした。
妹が生まれて、その寂しさは倍増しました。母親の愛情が妹に取られちゃったから・・ではない! 母の子育てがあまりに雑だから。妹に対する愛情が感じられないから。
妹が母親からかわいがってもらっているのを見て気持ちがホッコリするとか、私も甘えたい!と思うとか、そういうのはなかった。妹に接している母の姿を見ていると、むしろ寂しさが倍増しました。
不登校。引きこもり。リストカット
そんな妹は、ひどくおとなしい子に育ち、小学校高学年で不登校となり、今は引きこもり。リストカットを繰り返しています。抱っこ紐で母親と密着しているはずなのに、どこか遠いところにいる母。そんな乳幼児期を過ごした妹も、きっと寂しさと隣り合わせで生きてきているのだと思う。
子供に無関心な母親
母は、妹を抱っこ紐で抱っこしているときにも、妹に目をやることがありませんでした。声を発していても応答することはない。泣いても、迷惑そうにすることはあっても、あやしたりすることもない。だからだと思う。妹は、あまり、というかほとんどしゃべらない。
妹は私に「どうせ誰も聞いてくれないし」と言ったことがある。私はドキッとしました。「そう感じていてもおかしくないな」と思いました。母は、妹が泣いていても、あやしたりしなかった。気に掛けさえしていなかった。乳幼児期から、母親に無視されていたのだから。抱っこ紐でつながれて、母はそばにいるはずなのに、心はそこにない。そんな生い立ちなのだから。
子供は親を選べない
「人の子育てに口出しするな」と言われるかもしれない。「子育てしたことないくせに、偉そうなこと言うな」と言われるかもしれない。それでも言いたい。子供は、そんな親でも不満が言えない。それが普通ではないと気づいたときには、もう大人になっていて、その年になってから不満を言ってみても、「不満ばかり言って、まだまだ子供だな」とか言われちゃう。まともな親なら、「気を付けよう」と思ってくれるかもしれない。そんな人がひとりでもいたら、私や妹が、こんな不幸なことになってしまった意味が少しはあると思う。
子供と手をつながない母親
妹を抱っこ紐で抱っこしていたとき、両手をいつでもだらんとブラブラさせて、妹に手を添えることのなかった母は、妹がひとり歩きを始めたとき、手をつなぎませんでした。妹が迷子になってもそれでも気が付かず、私が探してきたこともあります。母が、妹と手をつながないからスーパーの駐車場で車にひかれそうになり、それ以来、私が妹と手をつなぐようになりました。
熱があることに気づかない母親
妹に熱があることに気づかずに幼稚園に登園させ、すぐ戻されたこともあります。先生は、妹を触ってすぐわかったそうです。「熱いな。熱があるな」と。抱っこ紐で密着していたときにさえ、妹に触れなかった母は、妹の体温を感じたり、妹の気配とか顔色とかに目をやる習慣もないんだと思う。
だから、私たち姉妹は、具合が悪くても母に気づいてもらえることがない。ものすごく、具合の悪いその状況を説明しないと母に理解してもらえない。私は、風邪を引いたりするのが嫌い。母のそんな態度に、とてつもなく悲しくなってしまうから。
子供がいじめられていることに気づかない母親
抱っこ紐を使っていたときに、妹に目をやることすらなかった母は、妹が学校でいじめられていることにも気づかなかった。妹の様子がおかしいことに気づいたのは私。それでも母は何もしなかった。それまでの10年ほどの間に、子供に関心を持ったり、子供とコミュニケーションを取ったことのない母は、妹と何を話せばいいのかわからない、といった具合でした。
妹は、そのまま不登校となり、引きこもりになりました。
自分の親が毒親。それを理解されない辛さ
妹が私に言ったことがあります。「いっそのこと、みなしごとかで生まれた方がよかったな」。その意味は、私にもわかる。私も同じ「母」を持っているのだから。
どんなに冷たい母親でも、私たちには親がいる。母に関する不満を誰かに言っても、「贅沢だ」と言われてしまうのです。いっそのこと「親がいないんです」と言えたなら・・そしたらみんな私たち姉妹に、同情してくれるはずなのに・・と思う。
引きこもりの原因に
私は、そんな母が嫌いで、早くに自立し家を飛び出しました。でもそれができない妹は、今でももがき苦しんでいます。
妹が悪いんじゃないと思う。私たち姉妹は、スキンシップなんてしてもらったことがない。遊んでもらったことがない。親と楽しい思い出がない。話を聞いてくれたことも、母から何か話をしてくれたとか、そういうこともない。母がダメならせめて父に救われたかったんだけど、それも無理でした。
「お母さんは私に興味がないんだろうな」とか「お母さんは私のこと、嫌いなのかも」といつも思わされている。そんな環境で育ったら、誰でもひきこもりみたいになってしまう可能性があると思う。
毒母の出発点は「抱っこ紐」の使い方
そしてその出発点は、「抱っこ紐」。抱っこ紐で優しく親に抱かれている子供を見ると、私は涙が出そうになる。子供の背中に優しく手が添えられていたり、胸に抱いている子供に目をやったりする親のまなざしを見ると、胸がキュンとなる。「いいな」と感動してしまう。そして、自分たちにはなかったな、と無性にさびしくなる。
抱っこ紐は、子供を縛って歩く道具じゃないと思う。抱っこ紐で補助することで、楽に抱っこができる道具なんだと思う。
娘がうつ病に。愛着障害に。
私は最近、うつ病になりました。私は愛着障害だと思う。親から拒絶されているように感じて育った私は、人からも自分が受け入れられているという感覚に薄くてすぐ不安になったり、情緒不安定になってしまったりします。
それでもうつになることで、妹のことばかり心配して生きていた私も、やっぱり毒親育ちなんだと、自分を労わることを覚えました。子供の頃の親とのスキンシップ不足は、大人になってからは取り戻せない。自分で自分を癒していくしかない。自分の生い立ちは、かなり悲惨なんだ・・とやっと気づけました。そしてそれを認めることができました。これからは、自分で自分に「大変だったね」と言ってあげようと思う。
私のうつは、少しずつですがよくなってきています。
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