80代高齢両親(夫婦仲悪い)ふたりで花火大会へ。 (2)

80代高齢両親(夫婦仲悪い)ふたりで花火大会へ。 (2)

要介護1の父。花火を見たいと言い出す

両親が暮らすのは、東海地方の小さな山里。地元開催の花火大会は、娯楽が少ないその町の唯一といっていいほどの夏のイベントで、地元の人がこぞってでかけます。 ...

父にとってそれは、子供頃からの夏の風物詩。たくさんの思い出があることでしょう。もう何年も、花火を見にでかけてはいませんでしたが、今年は「見たい」と言ったそうです。母は、ひざの悪い父の手をひき、まるで手をつなぐようにして、歩いて1分ほどの、花火がよく見えるドラックストアの駐車場までやっとこさ歩いて行き、ふたりで空を見上げたそうです。

長期入院していた父。その心中やいかに

私は、その話を聞きウルッとしてしまいました。私もその花火大会には、帰省のたびに行きました。しかしそんなとき父は、たいていプロ野球をテレビで観ていて席を立つことはありませんでした。「今年は、花火が見たかったんだな。やっと退院してこれたんだもんな。一度はもう家に帰れないかもと覚悟したかも。見れてよかったな、としみじみ空を見上げたのかな」と思いました。

父は、ほんの数ヵ月前まで精神病院に入院していました。その入院や4ヵ月に渡りました。実はそれは、治療に長くかかったからではなく、母が、父を介護施設にやりたいと言い出したため、迎えにいかなかったのです。父は「家にはもう帰れないかも・・」と思ったに違いありません。

父を介護施設にやりたがった母

父を引き取りたくないと言った母の気持ちもわかります。父は、ある夜幻覚を見て、はさみを振り回して人を怪我をさせ、警察沙汰となり、精神病院の隔離病棟に緊急入院となったのです。私も夫も「お父さんは、完全に壊れちゃったな」と思ったし、「もう同居は無理だろうな」と思いました。だから私たち夫婦も、精神病院からどこか介護施設へ直接移動させられないかとあちこち施設をあたったこともありました。

しかし、父はみるみる回復し元通り。無事退院してきました。認知症なのかと思ったらそうではなく、兄弟の死がショックで正気ではいられなくなり、せん妄を起こしただけのようでした。

「お父さん、ごめんなさい」と言いたい私

父と母が手をつないで花火を見ている姿を思い浮かべたら、母の希望を叶えるためとは言え、父を介護施設にやってしまう計画に加担したことが申し訳なく思えてきました。父は、そんな話になっていたことは、まったく知りません。だから、父に直接謝るわけにはいかないけれど、心の中では「お父さんは完全に壊れてしまって、介護施設以外は無理だと思ってたの・・ごめんなさい」と思ってる。

私と夫の老後やいかに

私と夫も何十年かすると、両親と同じ年になります。私だったら、ふたりで花火を見上げ、何を思うだろうか、などとしんみり考えてしまいました。「一度はもう一緒に暮らすのは無理、と思ったこともあった。でも、こうやって退院してきて、同じ空を見上げ、花火きれいだね、と話ができている。来年も一緒に花火が見れるかな。見れるといいな・・」・・と思ったら、なぜだか涙が出てしまった!

母はどこまでも事務的だった!

夫の両親はどうも仲悪そうだし、母は父にあまり情がないようだし。しかし、ひざの悪いお父さんを支えるようにして手を貸し、一緒に花火の見える場所まで歩いていっただなんて、お母さん、いざというときにはやるじゃない! 結構優しいじゃない! と思いました。しかし・・母はどこまでも「母」でした。

「よかったね。オヤジも喜んだんじゃない?」と夫が母に言ったら、母はこう言ったそうです。「お父さんの手をひいといてあげないと、転んだりして、そしたら私の責任だってことになる。そんなの嫌だから」。そういう気持ちだったの(笑)? 私は、お父さんとお母さんが仲良く手をつないで花火をみあげてる姿想像して、感動して涙しちゃったんだけどな。

それでもお父さんが、花火が見れてうれしかったなら。お母さんと一緒に見れてうれしかったなら。それでいいと思う。父は87歳。母は81歳。来年も一緒に花火が見れるといいよね・・。


人気の記事
毒父チェック【無料診断】
毒親チェック
うつセルフチェック【無料診断】
嫌われたくない症候群診断【セルフチェック】
メンタル弱い度チェック
燃え尽き症候群セルフチェック
自分の親が最悪な親かどうかわかるチェック
ダメな親診断【セルフチェック】
アダルトチルドレン セルフチェック
モラハラ親チェック【無料診断】


    先頭へ戻る