友達と引き離された過去。身勝手な母を持った子供の末路 (2)

翌日その子から「遊びに行っていい？」と聞かれたとき、私は返事に困りました。そして言ってしまったのです。「お母さんが、○○ちゃん（友達）と遊んじゃダメだって言ってる」。「なんで？」。「・・・とんかつ屋さんだから」。 ...

それでも私たちは、遊ぶ約束をしました。数日後、私はその子の家に遊びに行きました。とんかつ屋さんのカウンターの脇を通って２階に上がります。私はいつものように、仕込みをしているお父さんとお母さんに「お邪魔します」と言ってその子の続いて２階に上がろうとしました。

私は、あのときのご両親の怖い顔を忘れることができません。「あなたのお母さんは、うちの店をバカにしてるの？」。私が何も言えないでいると「そんな親の子は、悪い子だ。うちの子とは付き合わないでくれ」。

それ以来私たちは遊ばなくなり、その子も私から徐々に離れていきました。

私は長いこと、友達に親の言った言葉をそのまま伝えてしまったことを悔いていました。「あんなこと言わなければよかった」。大切な友達や、そのお父さんやお母さんを深く傷つけてしまった責任を、大げさなまでに、小さな背中でひとり背負い続けていました。「私は嫌われて当然の人間だ」。ずっとずっとそう思って生きてきました。

母は、なぜだか自営業の人を見下していました。でも、それは私の価値観ではない。その証拠に、私は料理人と結婚しました。そして主人が独立して自分の店を持ちたいと言ったとき、決して反対しませんでした。一生懸命になれる仕事があるということは素晴らしいことだ、ずっとそう思っています。

今は自分が自営業の立場です。私たちの娘が、友達にそんなことを言われたらどうするだろうか、と思います。私は、その子を責めるようなことは絶対にしないと思います。子供に罪はない、と強く強く思います。

私はずっと自分の「失言」を悔いてきたけれど、子供だった私に、あれ以上何が言えただろうかと思います。私の娘は、今年４年生。まだまだあどけない娘の寝顔を見ていると、母の言った言葉も、親友のご両親が私に言った言葉も、あまりに残酷だった・・と思えてならなくなりました。私は自分に言いました。「長いこと辛かったね。ひどい大人達だね。あなたのせいじゃないよ」・・気づいたら泣いていました。癒された気がしました。

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