セックス依存症の治し方 (2)

イライラが募ったＡさんは、最初、奥様に隠れてアダルト動画にふけるようになったそうです。いっときの快楽によって負の感情から逃げることを覚えたＡさんは、やがて風俗通い、浮気へとその行動をエスカレートさせていきました。 ...

奥様に正直に打ち明けることで、Ａさんのセックス依存症は徐々に解消されていきました。Ａさんは、現実から逃げてしまったこと、そして奥様を傷つけてしまったことを心から詫びました。奥様も知らず知らず夫を追いつめていたことに気づいたと言います。「辛かったけれど、彼の本音が聞けてよかったと思う。誰にも言えないようなことも私にだったら話してくれる、これからもそういう夫婦でありたいと思います」と語っています。

Ｂさん（女性）は、久しぶりに帰った実家の両親から、夫を悪く言われたことをきっかけに自慰行為に走るようになりました。「ああいう男性を選ぶような子だとは思わなかった」とＢさんの夫の学歴、収入、実家のこと、兄や姉の配偶者とも比べられ、「親からこんな風に思われていたなんて知らなかった」と絶望してしまったと言います。事が夫の悪口であるがために、誰にも打ち明けることもできず、ひとりで抱え込んでいたＢさん。そのどうにもならない辛い気持ちは、自慰の間だけ快楽にふけり解放されます。日に何度も、孤独感や絶望感から逃れるためだけに、日に何度も何度も自慰を繰り返す日々が続きました。

次第にＢさんは、それまでになくご主人を求めるようになりました。しかし、どんなに体を重ねても満たされないのです。「今日は疲れてる」と言うご主人に無理強いしたり、「私のこと愛してないの？」と問い詰めて困らせたり、ご主人との仲もギクシャクしていきました。耐えられないほどの孤独感に苛まれたＢさん。「今、見知らぬ男性に誘われたら、自分はついて行ってしまうのではないだろか」と思うに至って、Ｂさんは自分の異常さに気づきました。

そして苦しい胸のうちを、旦那様に話したのです。自分の愛する人のことを酷評され悲しかったこと、悔しかったこと、親の非礼をご主人に詫びたいような気持ちでいっぱいだったこと。旦那様は「あなたが僕を好きでいてくれれば、ご両親からどう思われていてもかまわない」と言ったそうです。すべての感情を吐き出し共感してもらうことで、Ｂさんのセックス依存症は嘘のように解消しました。

Ｂさんは言います。「私は、寂しい心の埋め合わせをセックスに求めていました。でも、それでは決して埋まらなかった。私が彼と初めてひとつになれたような気がしたのは、心を丸裸に主人と語り合ったあの時。セックスでしかつながっていないような夫婦にならなくてよかったと思います」。

順風満帆な人生も幸せでしょう。しかし、夫婦の間に降りかかる困難が、ふたりをいい夫婦にしてくれることもあります。セックス依存症は、互いのいいところだけでなく、弱さまでも受け止め合える、体だけでなく心もつながっている夫婦になる機会にもなるのです。

参考
*1: Paldrom Collins, George N. Collins 『A Couple's Guide to Sexual Addiction: A Step-by-Step Plan to Rebuild Trust and Restore Intimacy』

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