親に「態度が悪い」と言われた (2)

親に「態度が悪い」と言われた (2)

そこから私は3時間、この5年間の私のどこが間違っていたかを、父に説明され続けました。電話にも出ず、メールの返事もよこさず、態度が悪い、と言われました。「うつだった」とそこで言えば、「言い訳するな!」とキレられそうな気がしました。とりあえず、私は謝りました。私がうつ病だったことを、父も母も知らない。そんな父からしたら、「態度が悪い」と言われても仕方がないことだと思ったから、その点についてだけ謝ろうと思いました。 ...

それに、ひととおり謝るべき点を謝れば、楽しい会話に移るに違いない、と思っていました。しかし、事はそう簡単には進みませんでした。

父は、私の子供時代のことまで蒸し返し始めました。「お父さんは、ずーっと前から思っていた。お前は態度が悪い」。「お母さんとも、話していたんだ。お前は、昔から扱いにくい子だった。付き合いにくいんだ」。「こまめに連絡を入れ、顔を見せてこその親子なんだ。突然、顔見せて、優しくされると思ったら大間違いだぞ!!」。すべては、私のコミュニケーション能力の低さに原因がある・・のだそうです。

「俺は自分の親に、あんなことも、こんなこともしてやった。なのにお前ときたら・・。自分にはできてないなって思わないか? え? そう思うよな、な?」。3時間が経過したその時点で、思いました。「もう、限界だ・・」。

5年前の私なら、泣きながら席を立ち、帰路についたことでしょう。でも、うつを克服した今の私は、ひと周り強くなっていました。

私は、穏やかに、そしてゆっくりと話しを切り出しました。「あのね、私、お父さんとお母さんに黙ってたことがあるの。私、うつ病だったの。5年前、実家に来て、泣いて帰った日、あったでしょ。あのときからなの。お父さんに、いろいろ言われちゃったでしょ。ショックだったの。電話に出たり、メールの返信ができる精神状態じゃなくなっちゃって。今までだまっててごめんね」。

自分が原因で子供がうつになったなんて言われたら、黙りこくっちゃうかな、と想像していました。「うつ病の人に、そんなひどいことを言ってしまっただなんて・・」と、この3時間の自分の発言を、少しは後悔してくれるだろうと思っていました。自分の見通しの甘さに、自分で呆れました。

「だいたいうつ病ってものは・・」。そこから、私が席を立つまでの30分、『うつ病になんかなっちゃった娘』への苦言が続きました。父いわく、うつ病とは、気のたるんでいる奴がかかる「なまけ病」みたいなものなのだそうです。「そうなの?? お父さんが原因なんだけどな~」。私はそう言って、席を立ちました。うつ病は、なまけ病なんかじゃありません。だいたい今のその態度が、子供をうつにする毒親的態度です。

「これ以上いると、確実に、うつが再発するな」と思いました。会えば必ず子供をうつにする男。父。私は泣きませんでした。あんな父に、そして、そんな父のご機嫌を取っているだけの母に、酷い目に会わされて続けてきた私の人生。それでも今は、そんな悪運の強さに感謝してる! うつになり、でもそれをきっかけに、自分を大事にすることや自分を信じることを覚え、ボロボロの人生でもそれを誇りに生きている、そんな自分が今は好きだから。

実家からの帰路、自分の家まで車を走らせながら思いました。「会って楽しくない人と、進んで会いたいと思う人がいる? 子供に顔見せに帰ってきて欲しいなら、嫌なことばっか言っちゃダメだよね~。ただ、それだけのことなのに。どうしてそれがわかんないかなぁ」。


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