疑い深い父親 その末路 (2)

疑い深い父親 その末路 (2)

「ごめんなさい。これからは気をつける」と言っただけで怒られました。「これから『も』、気を付けるだろ!」と。そんな小さな言い間違いひとつで、それまで謝っていたことが台無しになり、「お前は、やっぱり何にも反省してない。口だけだ」となる。 ...

そんな僕は、友達や先生に対して疑い深いところがありました。僕は、そんな父が大嫌いだったのに、結局のところ、父をお手本にして育ってしまったところがある。友達のちょっとした言い間違いにカチンときて、「やっぱりコイツは僕のことをバカにしてる」とか思ったりしてました。

人を信用できない子供でした。そして大人になっても・・。

僕は、完全に「人間不信」でした。でも、彼女がそんな僕を変えてくれました。

天真爛漫な彼女と付き合うようになって、僕は変わりました。僕の言うことを、なんでもストレートに受け取り、何でも信じてくれる彼女。僕は、そんな彼女のことを、絶対に裏切れないと思いました。いつか自分を裏切るかも、なんて疑いもせず、僕のことをまっすぐに信用しようとしてくれるその姿は、僕の育った家庭にはないもので、僕にはある意味驚きでした。

そして僕は変わりました。彼女の前にいると、疑われてるんじゃないかと身構えることがなく、自然でいられている自分に気づきました。そして僕も、彼女の言うことの裏を考えたりせずに、受け取れるようになりました。

生まれて初めて、人と信頼関係でつながれたような気がしました。相手のことを信じてみようと思わなければ、人間関係って始まらないんだなと思いました。

彼女とは、結局別れることになったのだけれど、最後まで彼女は彼女でした。僕の切り出した別れ話。その言葉のひとつひとつを、彼女はすべて信じてくれました。「誰かほかに好きな人いるんでしょ」とか、そんなことひと言も言わずに。「そっか、別々の道を行かなくちゃいけない時が来たのかもね」「今までありがとね」。そう言って遠ざかっていった彼女の後姿を、僕は一生忘れないでしょう。

彼女と出会って、人から信用されるって、こんなにも自分を強くしてくれるものなんだと思ったし、信じようとしなければ、何も始まらないことを知りました。それまでずっと、親から疑われてばかりいるのは、自分が信用に足る人間ではないからだと思っていました。それは、違う。おやじには、僕を信じようとする力が足りないんだと思いました。

人の話を理解したいと思わない人には、どんなに話をしてもわかってはもらえない。僕のことを信じようとしてくれていな人には、どんな態度を取っても揚げ足をとられるだけ。自分も、これからは、周囲の人のことを、わかろうとし、まずは信用しようとしてみることから、人間関係を築いていこうと思います。

父は、今でも変わりません。あの調子です。でも、今は、父と会うのが怖くありません。「おやじは、人を信用できない人なんだな。しかも自分で、それに気づいてもいない。自分のことを信用しようともしてくれない人と、話をしたいと思う人がどこにいるだろう」。おやじが自分で変わろうとしない限り、僕は、おやじと口をきくことはないでしょう。


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