疑い深い母親その末路 (2)

実家に帰ったとき、母から言われました。「あなたは、私が嫌いなんでしょ。だから、わざと遠くの大学に行ったんでしょ」と。合格した唯一の大学が遠方で、ひとり暮らしができるな～と思ったのは事実だけど、ほかの大学にわざと落ちたわけじゃない。そこは、第三志望だったわけだし。 ...

就職すると、さらにひどくなりました。安い服を着てるいる私に、「収入少ないんでしょ」と言いました。普通に暮らせている、と言ってるのに、もうもう信じてくれません。年収を言ってまで、納得してもらわなければならないようなことでもないような気がしました。

「どうせ何を言っても、信じてもらえないわけだし。ボーナスいくらもらったとか言っても、どうせ、見栄はってるって、信じてくれないよね・・」。

そうとしか思えなかった。私と母の間には、信頼関係がないんだと思います。

長年の母との付き合いの中で、私は、母に何を言っても無駄だ、と思うようになってしまいました。母は、私の言うことを聞いていない。まったく。私の身なりとか表情で、私の「今」を勝手に推察し、決めつける。それが正しいと思い込んでいるから、私がいくら「そうじゃない」と説明しても、母にはその「そうじゃない」のひと言さえ、「嘘ついてる」になってしまう。何を言っても、疑われるだけになってしまう。

私、嘘なんか言ってないのに。疑われるようなことなんて、何にもしてないのに。

そんな私にも疑い深いところがある、と気づいたのは、３年ほど前のことでした。歯医者さんに「おやしらず抜いた方がいい」と言われたのに、「ホントなの？　儲けようとしてるんじゃなくて？」とか思ってしまって、疑ってる。母に似てるんだ、最悪だと思いました。

私はその頃から、母と距離を置くようになりました。会う機会と時間を極力減らして、普段は母のこと忘れ、それ以外の人間関係を大事にしようと心がかけています。

周りを見渡せば、母ほど私のことを疑ってかかる人など、誰ひとりいない。人から疑われているのではないか、と思わなくなったら、人のことも疑わなくなりました。

「私は、母のようにはなりたくない」。そう思いさえすれば、人はいつからでも変われるものなんだと知りました。「毒親の洗脳って、解けるんだ。私は、母とは違う人生が歩めるんだ」。その思いが、今の私の心の支えになっていると思います。