親に言いたい。台風被害、心配くらいしてくれてもいいじゃない (2)

親に言いたい。台風被害、心配くらいしてくれてもいいじゃない (2)

私は、この7年間ずっと思っていました。「もう少し、私もお父さんの言うことを適当にでも聞いてこの家を建てておけば、こんなにこじれることもなかったのかも」。今思えば、自分を責め続けていました。そんな私だったから、台風で家屋に損害がでた、そのタイミングで父と話をしてみようと思ったんだとも思います。 ...

「お父さんは、私たちが家を建てるときに、いろいろ口出ししたかったのに、それを私がシャットアウトしたから怒ってる。それなら、屋根が壊れちゃったんだけど、どうしたらいいだろう?ってお父さんに相談したらどうだろう。お父さんの好きなようにこの家を修理させてあげたらどうだろう? 機嫌治るかな」と思いました。今思えば、あんなオヤジにそこまで私が気を使う必要まったくなかったのだけれど、そのときにはそう思いました。

親子関係がこじれにこじれていることを知っている夫も「いいよ。屋根の色なんて、特にこだわりないし、何色になっても別にいいよ。いい機会だから、お父さんと親子で盛り上がって仲良く打ち合わせして修理の段取りつけてよ」。と言ってくれました。ナイスアイディアだと自分でも思いました。しかし・・。

父は驚くほど冷たかった。電話したものの「もう俺には娘はいないと思っている」と言われました。「今更よく電話してくるな」と言われました。「自分が困ったときにだけ連絡してくるのか。お前は最低だな」と言われました。すでに「ありえない」状態です。しかし私は諦めませんでした。顔を合わせれば、変わるに違いないと信じていました。

「うちの屋根、見に来てくれない?」と車で30分ほどのところに住んでいる父に、なんとか来てもらいました。父は、家に入るなり、我が家のあちこちをけなして周り、「お前の家はきたねーな」と私の掃除の悪さも指摘して周りました。それでも最終的に、父に協力してもらい最後には「お父さんのおかげで安心して住めるようになったよ。ありがとう」と言えれば、何を言われようとすべて丸く収まるだろうと思いました。

父は、この7年間、実家に帰らなかった私の「不義理」をなんと3時間にわたって説教し続けました。そして最後には、「お前の目的は金だろう!! うまいこと言って、修理費用全額俺に出させようとしてるだけだろう!! お前を育てるのに一体いくらかかってると思ってるんだ。これ以上俺に損をさせるのか! 夫から頭を下げさせろ。私に甲斐性がないからお父さんの力を借りないと屋根が直せません。助けてくださいと土下座させろ!」とプンプン怒って帰っていきました。

何時間も反論もできないまま、ただ言われっ放しで説教され続けると、精神的におかしくなってしまうことがよくわかりました。頭では相手の言っていることはおかしいとわかっているのに、気持ちが滅入っていく。私が悪いんだ・・という気になってきてしまう。自分の感覚や考えに、どんどん自信がなくなっていって、コントロールできなくなってしまう。

最後の最後まで、「お父さん、そんなこと言わないでよ」と和解を諦めなかった私ですが、ダメージは大きかった。私はそこから1か月間、勝手に涙がポロポロ出て止まらなくなったり、夫曰く「魂抜けっちゃった」みたいな感じでした。やっと人と普通に会話ができるようになった1ヵ月後、実家に電話しました。「こっちからお願いしておいて、本当に申し訳ないんだけど、この前お願いしたこと、私たち夫婦でやるね」と断りの電話を入れました。プンプン怒って帰っていったものの、何かしら我が家の屋根について考えてくれてるとかそういうことがあったら、断るの悪いな、とか思っていたのだけれど、父だけでなく母までも、そういうことは全くないようでした。

1年が経ちました。私はもうあのときのことを引きずっていないと思っていました。むしろ父と対決できてよかったと思っていました。あそこまでひどい人だとは思わなかった。もう縁を切るということでいいだろうと決心できたからです。親に悩まされる日々はもうおしまい!・・だと思っていました。

でもトラウマって、いつまた疼き始めるのかわからないものだなと思う。昨日、静岡、神奈川、千葉などに大きな被害をもたらした台風15号が、我が家にもやってきました。「厳重警戒を」とテレビなどで言われると、なぜだか「台風だ・・誰かに怒られちゃう!」と怯えている自分がいて驚きました。

夕べは、台風の激しい風雨の音を聞きながら、久しぶりに涙がでました。「私の家が倒壊しても、あの親たちは決して心配しないだろうな」と思いました。「別に助けてくれなくてもよかった。でも心配くらいはしてくれてもいいんじゃないかな」と思ったら、無性に泣きたくなりました。

毒親育ちの私はもう知っています。親のことでイライラしたり落ち込んだりしたときは、それを口に出した方がいい。「私さ、この台風が怖いんだよね。何が怖いって、台風が怖いんじゃなくて、誰かに怒られそうな気がするんだよね。やっぱり1年前のこと、トラウマになってると思う・・」。そんな私をよく知っている夫も、もう慣れています。否定せず、ただうなずいてくれる。それがうれしい。

台風の爪痕も大変だけど、毒父襲来。その爪痕の方が、私には深かった・・。それを思い知りました。(今回の台風で被害にあわれた方に、心からお見舞い申し上げます。)


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