【発達障害】精神年齢とIQのギャップが引き起こす問題 (2)
それは、発達障害のEさんに、もっとも残酷な言葉でした。 ...
「たとえば、人付き合いが苦手な僕に、友達と仲良く、は厳しい。母は、僕と友達のやり取りを見て、こういうことを言っちゃダメだとか、あんなことしちゃダメだ、と説明してくれるけれど、それができない。僕が自然に振る舞ったことはすべてダメ。次第に、自分を出さなくなりました」。
頭のいいEさんは、「発達障害には見えないような振る舞い」を完璧に習得したと言います。「そのおかげで、僕は、普通の会社に就職し、周囲の人も誰も発達障害だとは知りません。ちょっとおかしなヤツだ、と思われているとは思いますが・・」。
Eさんの生き辛さは、発達障害であることよりも、素の自分に戻れる瞬間がないことだと言います。「発達障害の人は、精神年齢が3分の2くらいなんだそうです。それはあたっていると思います。でもその本当の僕を出したら、社会で居場所がなくなるのではないか、という恐怖心があります」。
Eさんは言います。今の自分の在り方に自信がないと。「精神年齢の低さを隠し、ボロが出ないように、あまりしゃべらず、人付き合いも避けていれば、それなりに、会社にも勤め続けることができるでしょう。でも、自分が崩壊してしまいそうです。発達障害なんだ、頭はそこそこでも、できないことが僕にはたーくさんある、そう言ってしまったらラクなのに、と思ったりもします」。
最近では、発達障害の人への理解を深めようとする動きも出てきています。「僕はもう、この生き方を変えることはできないでしょう。でも、普通を装って生きるのは疲れる。近い将来、発達障害であることを公表しても、それがハンデとなることなく、その人となりを理解することに通じる世の中になればいいと思っています」。
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