えこひいき!兄弟差別をする毒親 (2)

えこひいき!兄弟差別をする毒親 (2)

まさかこんなことで差別されるとは

きょうだい差別されて育ってきたという自覚はありました。でも、命の危険にかかわるようなときには、差別したりしないだろうと私はずっと信じていました。でも違いました。ショックでした。私のこれまでの人生は何だったのだろうかと、全身の力が抜けていくようでした。 ...

私には、妹がいます。私は結婚しており、実家から出ています。妹は実家で両親と暮らしています。東日本大震災が起きたとき、両親、妹は東京に。私は関東圏のもう少し被害の大きなところにいました。

停電で電話が使えなかった私は、地震の3日後に実家にやっと電話できました。そのときのことです。母から信じられないことを言われました。

私は「お母さん、大丈夫だった?」と聞きました。すると母は、開口一番、「○○ちゃん(妹)のこと、心配したわ・・」と言いました。そこから永遠と、会社で一夜を明かした妹の話が続きました。

「お母さん、こっちはずっと停電で・・」「近くで建物の崩壊があって亡くなった人もいて・・」とこちらの報告もしてみましたが、母は「あなたのことは心配してない」とキッパリ。「だって、あなたは家にずっといるじゃない」。私や、私の家族の無事を案じる言葉は、最後までありませんでした。

私たちはふたり姉妹。昔からえこひいきの激しい母でした。子供の頃は、「上の子(私)はよく勉強できるんだけど、下の子(妹)はさっぱりダメで」などと、私ばかりが大事にされ、妹はまるで引き立て役。私は常に、妹をライバル視している冷たい姉だったと思います。「母から気に入られていなければ、今度は私が“ダメな子”のレッテルを貼られてしまう・・」毎日毎日、そんなプレッシャーと戦って、必死で点数稼ぎばかりしていました。

しかし、このときの電話で私は悟りました。今は、結婚して家を出た私と、同居している妹。「立場が逆転したんだな。今度は私が母から粗末に扱われる番なんだ」と。

しかし、意外なことに私はこのとき内心ほっとしたのです。「子供の頃、親に大事にしてもらわなかった分、今度は妹がいい思いすればいい。これで平等になる・・」。妹に対して長く抱いていた私の中の罪悪感に初めて気づいた瞬間でした。子供だった私に罪はないとは言うものの、親から十分な愛情をかけてもらえない妹を目の前に、自分の身ばかりを案じていた自分を、私は恥じ、妹に対して申し訳なく思っていたのかなと思います。

毒親は決して変わらない」という話はよく聞きます。私と妹の間に能力の差があったわけではなく、母が、片方をおとしめることでしか、もう片方を大事にできないタイプの人間だった、ただそれだけのことだったと思います。その証拠に、妹の方がかわいくなったら、私をおとしめる。そうすることでしか人を愛せない。私たち姉妹の立場は逆転しても、母のしていることは結局変わらない。「毒親は変わらない」これは本当のことなんだなとつくづく思います。


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