プライドの高い父親が原因のうつ病 (2)
それだけではありません。「父方の祖父は、大学教授でした。それも父の自慢でした。頭がいいんだぞって言ってました。たぶん父は、大学教授の息子である自分に、酔いしれてたと思います」。 ...
この人は、思春期に入った頃から、憂鬱な気分が抜けなくなったと言います。「父は、私のことを、随分人に言いふらしているようでした。私は妹より頭がよかった。進学校に進学し、挨拶とかもちゃんとできる私を、連れて歩きたがりました」。
それに引き換え、下の娘には、まったく無関心だったと言う父親。「妹は、35歳のときに精神科通いになりました。うつ病でした」。
妹さんは、お医者さんにこう言われたそうです。「あなたは親に怒ってるね」と。「妹からその話を聞き、私は『そりゃそうだよ』と思わず言ってしまいました」。
父親の自慢の娘にならないと、家庭での居場所がないとわかっていたこの人は、勉強にも習い事にも必死だったと言います。「妹は、私ほど要領がよくなかった。いつも日陰の身。親に怒っていて当然なんじゃないかな、って直観的に思いました」。
この事実が、この人を追い詰めました。「私は、妹が、父や母から粗末に扱われていることを、子供心に知っていました。しかし、妹のようになりたくないと、自分の身を守ることばかりで、妹をかばってあげるようなことをしませんでした」。罪悪感でいっぱいになったと言います。
「自分のこと、妹のこと。親に会えば、今でも、私にしか関心がない親のこと。どんなに頑張っても解決できない問題ばかりで、頭も気持ちもグチャグチャになりました。自分が今までしてきたことが、何もかも間違っているような気がしました。人生を最初からやり直さなくてはいけないような気がしてならなくなってしまいました」。
どん底を経験したと語るこの人も、今は、自分を取り戻し元気です。「妹は、気の毒な生い立ちの子だと思います。しかし、私が妹のうつに責任を感じる必要はないと気づいたんです。今でも昔と変わらずのうのうと暮らしているウチのふたりの親に、責任を感じて欲しいです」。
そして大事なことにも。「私も毒親の被害者なんだ、という現実に気づくのに3年かかりました。私は妹のように、親から露骨に冷たくされてきたわけではない。だから自分には、うつになったり、生きづらさを感じたりする権利はないと真剣にそう思っていました」。
子供は、親の愛情に敏感です。「私は幼くして薄々気づいていたと思います。父が大切にしているのは、私ではなく『自分』なんだって。私がお気に入りにならなくなれば、父は簡単に私を捨てる。妹に乗り換える。それが怖かったと思います」。子供の頃から支配され続けた漠然とした不安感の正体が、『見放され不安』と呼ばれるものだったことに初めて気づいたと言います。
この人は話の最後に、穏やかにこう語ってくれました。「プライドは、決して悪いものではないと思います。自分に誇れるものがあることは素晴らしいことです。でも父のプライドは、空っぽでした。自分自身を磨くことなしに、装飾品だけやたらと身に付けてる人みたいです。そして、その父に賛同していただけの母も、空っぽな人だと思います。私は両親を、心底軽蔑しています」。
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