acの特徴!「協調性に欠ける」の対応 (2)
協調性のなさに悩み続けたACの人がいます。 ...
「母は、私に協調性を求め続けました」。そう語るこの人は、幼いうちから母親に、「あなたは協調性がない。協調性を持ちなさい」と言われていたと言います。
「私は確かに、スタンドプレーの多い子供でした。自分はこうしたい、という意志が強い子供だったと思います」。それは今も変わらないとこの人は笑います。しかしこの母親は、この人の「意志が強い」といういい面をまったく無視し、「目立たないこと」「普通であること」「みんなとうまくやること」を強要し続けたと言います。
「母は、人の目をやたらと気にする人でした。私がいい子じゃないと困ると言っていました。子供だった私には、協調性という言葉の意味もわからないうちから、自分の性格に大きな欠陥があると思い込んでしまいました」。
この人は成長するにつれ、ただひたすら自分を押し殺すようになっていったと言います。「素の自分を出せば、協調性がないということになる。それを出したら、母を困らせることになるから、絶対に出しちゃいけない・・と思っていたんです」。
しかし、その人の本当の性格は、決して失われていませんでした。「私の心の中には、いつでも、こうしたい、ああしたい、という自分の意志がありました。でもそれは誰にも見せない。だからだと思います。私はいつも、みんな私を誤解してる、誰も私のことなんてわかってくれない、と怒っていました。協調するどころか、周りを敵視してたんです」。
そんなこの人も今は、生きづらさから解放され、こう言います。「小学校にあがるかあがらないかの子供に、協調性を求めた母は、どうかしてると思います。子供は、自分中心に生きていい存在なんだと思います。気がすむまで自分のことだけに一生懸命になる子供時代があるから、『自分』が確立できる。それを礎に、他者との関係が築けるようになる。私には、その自分を確立するチャンスがまったくなかったんです」。
協調性があるかのようにふるまい続けた子供時代。それによって奪われた個性、価値観、生き方。「母を安心させるために生きてきたような45年間でした。私はアダルトチルドレンです」。
今は、ACからも回復し、見違えるほど明るく朗らかです。そのきっかけは?
「思いっきり自分中心に生きてみようと思ったんです。失われた時間を取り戻さなければ、ACから回復できないと思いました」。いい年をして、自分中心になるなんて・・と一旦は思ったそうです。「でもそれは違うと思い直しました。私は、これまでの人生、自分を押し殺し、母を安心させるためだけに生きてきました。一生に一度くらい、自分のためだけに生きてみようと思いました。1年。1年だけそうしよう、と」。
効果は、1年を待たず表れたそうです。「思っていることを言うことに、はじめは抵抗がありました。どう思われるかと怖かったです。でも、言ってみれば、前より仲良くなれた人もいて。自分中心だと思っていたことは、そうでもなかったんだなと思いました。自己主張をすること、イコール自分中心だと、それも母に洗脳されていたんだな、と思いました」。
不思議なことに、自己主張できるようになればなるほど、人と協調することができるようになったと言います。「今は、人と協調することが楽しいと感じられます。私はこう思う、あなたは? それじゃこうしよう・・って。自分も相手も、両方を大事にする方法がわかったんです。これが本当の協調性なのか、と思いました」。
この人は今45歳。「遅すぎたな、と思うと母を恨みたくもなるけれど、気づけてよかった、と前向きにとらえようと思います。ただ・・母にはもう会いたくないです。2度と会うことはないと思います」。
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