うつの症状「ひねくれてる」の原因と治し方 (2)

「父は、思い通りいならないと怒る人でした」。そう語るこの人の父親は、子供が思い通りでないと気に食わない人でした。 ...

「何をしていても父が、すぐ口を出すんです。こうしろ、ああしろ、って」。好きなものを食べさせてもらったり、買ってもらったことがないと言います。「そんなのやめろ。これがいい、これにしなさい、とか言って、父に決められてしまいます」。

絵を描いていても、作文を書いていても、工作をしても、夏休みの自由研究も。子供の自由には決してさせません。「父がああだこうだ言うので、最終的には、父の作品のようになってしまいました」。どう見ても、大人が作ったとしか見えない作品を学校に提出し、先生に、自分でやったの？と聞かれたこともあったそうです。「私は、そうです、と嘘をつきました。父を悪者にしちゃいけない、と幼心に思ったことをはっきり覚えています」。

この人は、小学生の頃、すでに憂鬱な気分に支配されていたと言います。「鬱だったと思います」。そしてどんどん、頑なになっていきました。「何か買ってやろうとか言われても、どこか連れていってやろうとか言われても、『いい』『いらない』とか言って一切拒絶していました。父には、いろいろなコネがあって、私の就職の世話をしたがりましたが、それも一切断りました。父には、素直じゃない、と怒られました。母には、ひねくれてる、お父さんがかわいそうだ、その性格を治しなさいと言われ続けました」。

この人は、子供の頃を振り返りこう言います。「確かに私は、ひねくれてました。親に対してだけでなく、すべての人に対して。何かしてもらっても、私のためにしてくれたんだな、ありがとう、うれしい、とはぜんぜん思えないんです。得意になってるだけでしょ、とか、してくれなくてもよかったのに、とか、思ってしまうんです」。

誰にも助けてもらいたくないから、ひとりで生きていけるようになりたい・・ただそれだけを思って学校へ通っていた、と言います。「私はいつも孤独でした」。

そんなこの人も、今はひねくれていません。「学校でも、会社でも、人と協調して何かすることが苦手で、孤立しがちな私でしたが、うつで病院に行ったり、本を読んだりしているうちに、自分のひねくれてる性格の原因がわかったんです」。

この人は言います。「私のひねくれた性格は、100％親が原因です。その証拠に、親とは一生会わない、と決めて５年。私のひねくれた性格は、自然と治りつつあります」。

ひねくれてしか生きられない、という生きづらさ・・そこから回復したきっかけは？「私は何にも悪くない！と自分に言い聞かせました。親のせいにしても何も始まらない、と言う人もいるけれど、そうでもないと思います。私は、そう自分に言い聞かせることで、自分の人生を親から取り戻せました」。

過去を振り返り、この人は語ります。「私は２重３重にひねくれていったと思います。私のしていることを横取りし得意になってる父によってひねくれ、そんな父に、感謝できない私を責めた母によってさらにひねくれました。私と同じ環境で育てば、誰だってひねくれると思います。その証拠に、兄もひねくれた性格。引きこもりです。あんた達（親）が原因でひねくれてしまったのに、それを治せって、どういうことよ！　バカも休み休み言えよ！！　と思っています」。

言葉は悪いけれど、これは、ひねくれていた人の「心のねじれ」が取れてきた証拠でもあります。ストレートに物事を見たり感じたりすることができるようになると、自分の気持ちに正直になることもできるようになるのです。

うつで一時会社をお休みしたものの、今は元気にやってると言います。「ひとりで何でもやろうとせずに、人に助けてもらうことができるようになりました。誰も私のこと、バカにしたりしないんだな、とわかりました。かえって、職場の人たちとの信頼関係が深まった気がして、楽しいです。世の中の人たち、みんなが父や母のような人ばかりじゃない、といことに気づいて、私は生まれ変わることができました。引きこもりの兄のこと・・それだけが、今は気がかりです」。

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