高齢父、知り合いの名前が思い出せず３時間悩み２日間寝込む (2)

思い出したかった理由が父にはあった！

父のお兄さんが亡くなったのは、約半年前のことでした。父はそれが相当ショックだったようで、その直後に、せん妄を起こしました。「ネズミがいる」と幻覚を見て、家中をひっくり返し、ハサミを持って振り回し、窓をたたき割って外に出ようとし、洋服を胸に抱えたまま風呂に入り、ゴミ箱におしっこをし・・どうにもならず、母と親戚の男性が110番通報をし警察に取り押さえてもらい、その場で精神病院に緊急入院となりました。 ...

父は、庭師の人の名前を思い出すなり、母に「その人に電話してもいいかな」と言ったそうです。（母の許可がないと電話ができない家庭のルールが私には？？ですが、実際そうなのです。）父は、その人と電話で話をし、ご機嫌だったそうです。

大切な人を亡くした悲しみを癒すには・・

父は電話を切るなり「話ができてよかった」と言っていたそうです。

大切な人を亡くした悲しみを癒すには、思い出話をするのが有効だと言われます。その庭師の人と父とのつながりは「お兄さん」だけであり、父はその人とお兄さんの思い出話などをしたことでしょう。お兄さんの死が受け入れられず気が狂ってしまった父です。それは何よりの癒しになったと思います。よかったよかった・・で終わる話なのだけれど、母は違います。

母の目に映る父は「認知症」

ひとりでブツブツ話したり、うなずいたり。幻覚でも見ているかのような父の姿は、「また暴れ出すんじゃないか」「せん妄の恐れあり！」としか思えないようでした。夫は「オヤジ、よく思い出したじゃない！」とポジティブな返しをしていましたが、やっぱり一緒にはもう暮らせない、一緒にいたくないそうです。そう言われてもねぇ・・。お父さんは昔からそんな感じの人なんだから、今さらそれが嫌だと言われてもねぇ。

思い出し方は人それぞれ！

思い出し方って、人それぞれなんだな、とつくづく思いました。おしゃべり好きな父は、架空の誰かとしゃべりながら、その会話の中から糸口を見つけて思い出す、そういうタイプの人なんだろうなと思います。

夫は、ものすごく几帳面というか、きちんとした人なのですが、思い出し方もきちんとしていて「頭の中の引き出しを開けていくイメージ」なのだそうです。記憶もちゃんと整理されて頭の中に格納されており、該当しそうな引き出しを開けるとは！　実生活と近いじゃん！となぜか笑ってしまいました。

ちなみに、整理整頓が苦手な私は、記憶の整理もグチャグチャな感じで、ひたすら関連する情報を思い出し、そこからなんとか名前にたどりつけるかつけないか・・。「あの芸能人の人、なんて名前だったっけな・・。〇〇って人と結婚して、子供がひとりいて、たしか女の子で、離婚して、あのドラマとか、あんな映画とかに出てて、〇〇って人と不倫してるんじゃないかって噂になって、その〇〇って人は、××って人と夫婦で・・」。どちらかというと、お父さんの思い出し方に近いかも（笑）。

その後、２日寝込む

父は、思い出す行為がよほど疲れたらしく、その後、２日間、ご飯も食べずにひたすら寝ていたそうです。頭使うって、疲れるよるよね、お父さん。

母はそれもまた「お父さんはやっぱりおかしい」と思えてならない種になったようですが、２日間寝通したら翌日のデイサービスにはちゃんと出かけたそうです。父は、デイサービスを嫌がらないので、本当に助かります。遠方から見守っている私たち息子夫婦も安心です。むしろお母さん、あなたが心配！　お父さんは頭おかしいってことも、認知症でもないと、私は思うんだけどなぁ。そんな目でいつまでもお父さんのことを見ていると、いつかお父さんを怒らせ、キレさせ、再び大惨事になるんじゃないかとそっちが心配なんだけどなぁ。

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