87歳父の恐るべき咀嚼力(歯も入れ歯もなし)

87歳父の恐るべき咀嚼力(歯も入れ歯もなし)

老父。歯がありません。入れ歯もしません。でも何でも食べます。

父は87歳。10年以上前から歯が1本もありません。入れ歯は持っているけれど、入れ歯が嫌いでしたことがありません。しかし何でも食べます。歯茎で噛んで。咀嚼力が弱ると、刻み食やムース食を準備しなければならなくなり、要介護度も上がります。恐るべし、87歳父。なぜ父は、歯がないのにそんなに何でも食べるのか?! ...

歯がない父の咀嚼力

咀嚼力(物を噛む力)とか嚥下(物を飲み込む力)とか。それは介護の重要な要因のひとつになることは、実際に父が要介護になってみてよくわかりました。若い頃なら、当たり前のようにできる「物を噛む」とか「飲み込む」ということが、高齢になればできなくなります。柔らかい食事とかを準備しなければならなくなります。のどに詰めないかどうか目が離せなくなります。介護状態になります。

高齢者のための食事

介護に関する情報を読んでいると、よく「刻み食」とか「ムース食」と出てきます。「なんじゃそりゃ?」と思っていた私も、実際に父が、入院中に刻み食やムース食を食べているのを知り、初めてその実物がわかりました。

刻み食とは

刻み食とは、普通の食事をミキサーにかけて細かくしたもの。元は普通の食事。でも、ミキサーで細かくすることにより、歯がなかったり、咀嚼力が弱い高齢者も食事が取れます。

ムース食とは

ムース食とは、咀嚼力に加えて、嚥下も困難になってきている高齢者向けの食事。嚥下とは、飲み込む力。ゴクンと飲み込む筋力も弱れば、喉に詰めてしまいます。そんな高齢者でも「ムース状」に仕立てた食事なら摂取できるというわけです。

ムース食とはその名のとおり食事をムース状にしたものなのだけれど、その内容がすごい。介護施設や高齢者向け配食サービスで提供されるムース食は凝っていて、玉子焼きなら玉子焼きの味がする。色も玉子焼きっぽい色。しかし、食品の状態はムース。しかもそのように仕立てられている食品が何十種類も用意されていて、ムース食の夕飯だからといってムースがポンと一種類だけ出てくるわけじゃない。ムース状のおかず数種類に、全粥といった組み合わせになっている!

恐るべし。高齢者のための食事・・。

入院中刻み食やムース食を食べていた父

父は、数ヵ月前まで入院していてました。入院していた先は精神病院で、内蔵が悪かったとか食事制限があったとかではありません。

入院時に「入れ歯を持ってきてください」と病院に言われましたが、10年前に作ったきりで全くつけていない。入れ歯をする習慣がなかったため、病院での父の食事が、刻み食やムース食になったのではないかと思われます。のどに詰めたりしたら責任問題になるでしょう。当然の措置だと思えます。入院中の食事は、1食いくらと決まりがあるのだけれど、特別食だったのでその分高額になりました。

父の咀嚼力や嚥下力がわからない

父は4ヵ月間入院していました。父が、刻み食やムース食を食べていると知り、それが単に、のどに詰めたりしたら困るからという理由なのか、咀嚼力や嚥下に問題があるからなのかがわからず、退院の準備をする際にとても困りました。

父が入院していたのは、精神病院の閉鎖病棟でした。その病院があまり、というかかなりよろしくなく、担当医が患者家族と一切会ってくれません。父の容体について説明をまったく受けられないので、父の病状はおろか、「ムース食が必要な状態なんだろうか。通常食が食べられない状態なんだろうか?」といったこともまったく聞けないまま父の入院4ヵ月が過ぎました。

退院後の食生活を考える

私たち息子夫婦(夫がひとり息子。私は嫁)は、父には刻み食やムース食といった食事が必要な状態なのかも、と考えました。母も「退院してきたら、お父さんにどんな食事を準備すればいいかわからない」と言っていました。そこで私たちは、父の退院時にこんな手配をしました。 [...]


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