毒親は治らない。ますます調子にのる要介護父。 (2)

毒親は治らない。ますます調子にのる要介護父。 (2)

好き嫌いの原因は「調子に乗る性格」

誰にでも好き嫌いがあるけれど、父の野菜嫌いは、「口や体質に会わなくて食べられない」というレベルのものではなかったんだんだと思う。父は「こんなもの食えるか!」とか言って、母に野菜抜きの食事を作らせていました。 ...

母はお料理上手で、何でも美味しく作りました。父の嫌いなものを避けて料理を作っていくうちに、父は調子に乗ったのではないか。絶対食べたくないっていうほど嫌いじゃないものも、「これは嫌い」などと言って、母に「あれもはずせ、これもはずせ」と当然のように要求していき、「自分がだーーーい好きなものしか食べない」という状態になったのではないか。

高齢者向け配食サービスの利用

入院中は何でも食べている父の姿を見、母はもう父の食事の支度をするのが嫌だと言い出しました。そこで考えました。父の退院を機に、父には高齢者向け配食サービスのお弁当を食べてもらうことにしました。「入院中には何でも食べれてたんでしょ? 高齢者向けのお弁当でも平気なはずでしょ」と思いました。

母も80代の高齢です。食事作りから解放してあげたいと思いました。それに、母が父の食事の支度をすれば、父はすぐ「これは嫌だ。あれが食べたい」と言い出し、母はそれに応じなければならなくなるでしょう。すると父は、まず間違いなく調子に乗ります。ちょっとでも嫌だと思えば、もう食べない。「これは嫌いだ」などと不平不満を言うばかりになる。すると母は、父に合わせた食事を作らざるを得なくなり、調子にのる性格の父はますます要求をエスカレートさせていく。悪循環が再び始まることは目に見えています。

調子に乗り出した父

しばらくは、高齢者向け配食サービスをおとなしく食べていた父も、3ヵ月も経つと、調子に乗り始めました。7月のある日「うな丼が食べたい」と言い出したそうです。きっかけは、デイサービスのお昼に出されたどんぶりものでした。

父は週に2回デイサービスに行っているのだけれど、そこでの昼食にどんぶり物がでることがあるそうで、それが美味しかったと。美味しいなら、デイサービスで食べられるのを楽しみにしてればいいのものを、すぐ調子にのる父です。「家でも食べたい」と言い出しました。

高齢の母が、作るなり、買ってくるなりしなければならなくなります。母は父にキレられるのが怖くて「今月の丑の日はうなぎにしよう」と約束したそうです、母はうな丼を作りました。

しかし、すぐ調子に乗る父です。自分の願いを聞いて、配食サービスをお休みして、わざわざスーパー行ってうなぎ買ってきてくれて、食べれたうな丼。「ありがとう!」だなんて父は決して思わない。

「今月は俺の誕生日だ。カツ丼にしてくれ」。うな丼の次は、カツ丼です。母はもう断れません。これを断ると、まず間違えなくキレるのが「毒親」たるゆえん、それが「父」なのです。「この前はうな丼にできたのに、どうしてカツ丼ができないんだ!!」というのが父の理屈。

調子に乗る性格。どんどん調子に乗る

母は暑い中、父の好きだったお店まで出向いて「持ち帰り用カツ丼」を買ってきました。カツ丼食べられた父も、買ってきた母も父の喜ぶ姿を見てハッピー。それで終わる話のはずなのだけれど。そうはならないのが父。喜ぶだろうと思ってやってあげても、結局調子に乗られるだけ。

今度は、残さず食べていた配食サービスのお弁当を、残すようになったそうです。「あ~あ、元通り」と思いました。

父親には何もしてあげたくなくなる

「昔からそうだった。お父さんに何かしてあげても、その後いいことがない。お父さんが喜ぶだろうと思ってやってあげても、もうやらないのか?!とイライラされたり、怒られたり、嫌な目に合うだけ。そんな私は、誰にも何もしてあげたくない冷たい人になっちゃった。だって調子に乗られるだけだもの・・なんて、誰のことも信じられない毒親育ちの典型みたいになっちゃった」。

毒親の洗脳を解いておいてよかった

そんな私も「毒親」という言葉を知り変わりました。「父は間違ってると思う」と今の私は思えます。「人から何かしてもらったら、やってもらって当然だと思うのは間違っている。してくれた人を不快にさせている。周囲の人が優しくないといつもイライラしている父。その原因は自分にあるのにそれに気づかない。何でもかんでも私たちのせいにしてる」。

年を取ったら、少しは角が取れて付き合いやすくなるのかと思ってた。でも、それ気づかないで87年もの間生きてきた人が、晩年気づけるはずがない。「毒親は治らないとは聞いていたけれど、それは本当だったのか・・」と悟りました。

「毒親は、最期まで毒親。それを見届けてやるか」。私はそんな目で父を見ています。少なくとも、父が毒親であることを知っている自分は、もう父に振り回されません。両親に介護が必要になる前に、自分が毒親育ちであるという自覚が持てたこと、毒親の洗脳を解いておけたこと、それは本当によかったと思う。そうでなければ、ずっとずっと親に気持ちをかき乱されっ放しになったと思います。


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