毒親介護日誌。人をバカにしたがる父親の末路 (2)

毒親介護日誌。人をバカにしたがる父親の末路 (2)

毒親の洗脳を解いてみたら

私は35歳を過ぎて、自分の実の親との関係にものすごく悩んだ時期がありました。私は、過干渉な母親と、支配的な父親に育てられており、「いいこ」にしか生きられないところがありました。常に、親や周囲の人が自分に何をしているのかを考え、そのとおりに言ったりやったりすることしかできません。自分の本音をしゃべったことがないから、表面的な友達ばかりで心を許せる人がいないし、人と会うのが苦痛でなりません。自分のしたいことをしたことがなく、大人になっても自分が本当は何がしたいのか、何が言いたいのか、それさえわからないところもありました。 ...

そんな自分も自分なりに、仕事をし、結婚し、自分の家庭なり人生を築いてきたつもりなのだけれど、それは親の「理想のかたち」ではなかった。「あなたをそんな娘に育てた覚えはない」「情けない」などと、別に悪いことをしているわけではないのに言われるようなことが続き、かなり落ち込みました。しかしそれをきっかけに自分の親がいわゆる「毒親」なのだと知り、そして、自分の言いたいことは何なのかよく考え、それを思い切って口に出すことで、毒親の洗脳を解こうとするようになりました。

父に、言いたいことを言ってみる

そんな「毒親の洗脳を解こうキャンペーン」の真っただ中に、8月6日がやってきました。私40歳。結婚して17年。〇〇のひとつ覚えのように私にこう言った父。「今日は何の日だか知ってるか?」。

私は「言いたいことを言っていいんだ。相手が気を悪くするかもなんて気を使わなくていいいんだ。言ってみよう!」と意を決して言いました。「今日は広島の原爆の日ですね。9日は長崎。15日は終戦の日ですね。お父さん、おはようございます!」。

だまりこくった父

父は、私に何も言い返しませんでした。別にそこから会話が弾んでもよかったんだけど・・。決まり文句の「そんなことも知らないのか。情けないやつじゃのぉ」を言うタイミングを奪われた父は、口を真一文字に結び、ムッとした表情で、テレビを見つめ、私に一瞥もくれません。

「怒らせちゃった?」と思いました。以前の私なら、毒親育ちの人の多くがそうであるように「親を怒らせたら、大変なことになる・・」と恐怖におののき、「親を怒らせてしまっただなんて、自分はなんてダメな人間なんだ」と落ち込んでしまったところことでしょう。しかし、毒親の洗脳が解かれつつあった私は思いました。「私は何も怒らせるようなこと、言ってないな。それならそれでいいんだ。私は言いたいことを言っていい人間なんだ」。(私はこの件をきっかけに、毒親の呪縛からグッと解放されたようなところがあります。)

夫には一応言いました。「お父さんムッとしちゃった! 怒らせちゃったんだけど、まずかったかなぁ」。夫は、お腹をかかえて笑ってました。「ほっとけばいい。あの人は、ああいう言い方でしか人と話ができないんだよ。本当にかわいそうな人なんだよねぇ・・」と言っていました。

毒親はほっとくに限る

夫は昔から、父親からそんな風にからまれても完全スルーでした。そんな息子が気にいらず父がイライラする。そんな親子関係をずっと見てきた私は、「もう少しお父さんに優しくしてあげた方がいいんじゃないか」と思っていた時期もありました。しかし、夫の対応は間違っておらず、むしろ毒親への正しい対処方法だったのだなと今は思います。怒らせるのが怖くて、親に合わせるようなことばかりしていると、卑屈になったり、自分に自信を失くしてしまう。毒親育ちなのにも関わらず自分に自信のある夫と自己肯定感が異常に低い私の違いは、そこにあるんじゃないかなと思います。

私に話しかけなくなった父

父は二度と私に、「今日は何の日か知ってるか?」と言わなくなりました。そればかりか、私に話しかけなくなりました。「お父さんは、毎年のように私にいろいろ言ってきていたけれど、私と会話したかったわけじゃないんだな。人をバカにし、自分が威張りたいだけの人だったんだな」と心の底から軽蔑しました。(そして、その気持ちの変化が、親の洗脳から解放されることにもつながりました。)

要介護1になっても何もかわらない父

父は、半年ほど前、親戚が亡くなったことをきっかけに気が狂ったようになってしまい、精神病院に4ヵ月ほど入院しました。それをきっかけに「要介護1」となった父。母が、再び気が狂ってしまわないように、細心の注意を払い、父のご機嫌をとりながら暮らしています。

私たち息子夫婦は、今年はもう実家に帰省するのをやめました。「今日は何の日だ?」とか聞かれて、「原爆の日ですよ。お父さん、何年ソレ聞いてるですか!」だなんてウッカリ言ったら、怒り出して、興奮状態に陥り、精神病院に逆戻り、なんてことになりかねない。しかし、父のご機嫌を取るために帰省するのだけは御免だ、とは夫と私の一致した意見。

母とふたりの8月6日。今年父は、母に聞いたそうです。「今日は何の日か、お前知ってるか?」。母は、答えたそうです。「知らないねぇ。・・原爆の日? お父さんは頭いいねぇ」。昔は決してそんなこと言わなかった母なのだけれど、そんな演技ができるようになったようです。「お母さん、大変だな」とは思ったけれど、私が父からどんなに罵倒されていても、決して救いの手を差し伸べてはくれなかった母です。「・・ま、いっか! お母さん、かわいそうだなんて、同情するのはやめよう」と思うことにしました。ここで母に同情してしまったのでは、また毒親の洗脳下に逆戻りしてしまうことも、私はもう知っています。


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