高齢父がデイサービスに行けるようになるまで。その複雑な理由＆事情 (2)

入院中の要介護認定

父は、入院中に要介護認定を受けました。父は、ひざが悪くてデイサービスに行くようになったのだけれど、入院していたのはそっちではありませんでした。入院先は精神科でした。 ...

父は精神科に入院していました

父は、精神病院の閉鎖病棟に４ヵ月入院していました。今から９カ月ほど前、父は、夜中にせん妄を起こし、ゴミ箱に排尿し、服を着たまま風呂に入り、ネズミがいるから退治するんだとハサミを振り回し、知人の男性を殴って警察沙汰となり、そのまま精神病院の隔離室に医療保護入院となりました。

父を介護施設に入れたがった母

母はそのときのことが完全にトラウマになっており、父が退院してくるのを嫌がりました。私たちも、もう同居は無理だろうと思いました。

一時的に退院させてから、あらためて介護施設に入れるのは困難だと思われました。父に「行きたくない」と言われれば、こちらが諦めざるを得なくなるでしょう。しかも「施設に言って」などと口に出してしまったら最後、父との関係はさらに悪化するに違いありません。険悪なまま同居・・という最悪の結果しか待っていないのは明らかです。

介護施設に入れるには要介護認定が必要

何がなんでも、入院先から介護施設へ直接父を移動させるしかない！と思いました。しかし、介護施設に入れるには、要介護認定が必要です。多くの介護施設には、受入れ可能な「要介護度」が設定されており、父の要介護度がどのくらいなのかがわからないと、入れそうな施設を絞り込めなかったのです。

要介護認定が出るまで退院を先延ばしにしてもらう

要介護認定の申請をしてから結果が出るまでには、１ヵ月かかります。病院は早く退院して欲しかったようなので渋られましたが、要介護認定が出るまで居させてくださいとなんとかお願いし、入院中に要介護認定を受けさせることができました。

父の要介護認定は、調査員の人が、入院先まで出向いてくれることで行われました。父の入院していたのが精神病院だったこともあり、父は、検査のひとつだと思った？　特に疑念を持たずにすんなり調査を受けてくれました。

父は「要介護１」

父が入院しているのは、精神病院のしかも閉鎖病棟です。てっきり認知症だと思っていたし、認知症の症状で要介護が１とか２になるものだと思っていました。

父は「要介護１」でした。指摘されたのは、認知症ではなく、ひざが悪いこと。ひとりでの入浴が無理なので、デイサービスに行って入浴介助を受けてください、とのことでした。かなり意外な展開で、「認知症じゃなくて、ひざの方で要介護が出たんだ」と驚きました。

介護施設を諦めた母

父にある問題は「ひとりで入浴できない」それだけ。精神病院の隔離室に緊急入院になった父でしたが、兄弟が亡くなったことがショックで気が狂ってしまったようで、認知症ではありませんでした。４ヵ月の入院生活で父は落ちつきを取り戻し、兄弟が亡くなったことについても気持ちの整理がついてきていました。しかも本人が家に帰りたがっています。こうなるとさすがに、入院先の病院から介護施設に無理矢理送ってしまうのは、ムチャな気がし、母には諦めてもらいました。

「家の風呂が壊れたから」と説明した母

本当なら父に「ひとりでの入浴が無理だからデイサービスに行って」という説明をするところでしょう。しかしそれを言うのが、母は怖かったようです。「俺をバカにしてるのか」などと父がキレてしまう展開は容易に想像がつきます。母は「家の風呂が壊れたから、デイサービスっていうところに行ってきて」と父に言い、なんとかケアマネージャーさんとの面談（家に来てもらい楽しい雰囲気で雑談しただけです）を承諾させ、「お試しデイ」（お試しデイサービス）に行くところまでたどり着きました。

デイサービスが大好きになった父

「風呂が壊れてるならしょうがないな」と出かけていった「お試しデイ」でしたが、かなり気に入ったようで、家に帰ってくるなり「続ける」と言ったそうです。

父は、デイサービスでのレクリエーションがいたくお気に入りのようで。みんなでゲームをしたり、歌を歌ったり、それが楽しいようです。入浴介助も受けていますが、父はたぶん、そっちはどうでもいい。いろんな人としゃべれるのが楽しくて、「ついでに風呂も入ってる」と。

介護保険サービスという公的援助を受けているのに、そんな自覚・・。しかし、高齢者本人の自覚はどうでもいいのかもね。ご機嫌に晩年を過ごしてくれて、本人の生活の質の向上につながっていれば。そしてそれが、同居する母の負担減になれば。デイサービスのおかげで、一度は「お父さんとはもう同居したくない」と頑なだった母も父となんとか暮らせており、自宅で介護できています。遠方からサポートしている子供の立場である私たちも、介護保険サービスには感謝感謝・・です。

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