不謹慎な父親。

不謹慎な父親。

父87歳。要介護1。父がデイサービスに行っている隙に、今日も母へ定期連絡。電話で父の様子を聞きました。父は、前回のデイサービスで、「長崎原爆の日」にちなみ、長崎の歌をカラオケで歌いあげたそうです。はっきり言って私は、父のこういうところが大嫌いです。 ...

いろいろと不謹慎な父

「それのどこが悪いの?」と思う人もいるでしょう。しかし、父はこの件に限らずいろいろ不謹慎なのです。不謹慎な父の言動に、私自身、傷ついたことも数限りなくある。

「もう87歳なんでしょ? 大目に見てあげなさいよ」と言う人もいるでしょう。いいえ、父が不謹慎なのは、今に始まったことじゃない。私たちが子供の頃から。「またなの??」としか思えない。いえ、そればかりか「いい年して。まだやってるの?」「一体いつまでそんなことやり続けるわけ?」「本当に、バカは○んでも治らないんだね」としか思えない。

葬式が大好きだった父

父は、他人の葬式に喜んで出かけて行く人でした。理由は簡単。みんなで集まってワイワイやりたいから。お酒をくみかわしその人をしのぶ・・それならいい。周囲の人はみなそんな気分で飲んでいる。その中でひとり浮きまくりの父。ただ騒いでるだけ。葬式の場に似つかわしくないことを言い、ひんしゅくを買い、ご家族を傷つけて平気な父。

死因を根ほり葉ほり聞きたがる

そんな父を見かねて、母は父を葬式に行かせなくなりました。「行かなくていい」と断固反対し、外出禁止です。

すると父は、関係者に電話しまくるようになりました。「あいつ亡くなったんだってなぁ。病気だったのか? 事故か? 最期はどんな感じだったんだ? お前知ってるか?」。ゴシップネタをあさっている記者のように、ずけずけと人のプライバシーに踏み込み、聞きまくっていました。

しかし、たとえ知っていても、勝手にそんなこと暴露したりしない善良な人が大半です。多くの人が「知らない」と答えたようで、そのたびに父は電話を切るなり、カンカンに怒っていました。「つまらんやつだ!!」。なぜ父が怒ってるのかがわからないし、なぜその人が「つまらないやつ」になるのかわからない。

そんな父が怖かった子供時代

父はそのようなとき、相手が女性だとこんな言い方をしました。「愛想のないヤツだ」「駄目だあの女は」。

今なら、そんなことを言う父が間違っていることがわかります。真に受けなくていいとわかります。でも子供の頃の私は、そんな父が本当に怖かった。「私はお父さんに、そんな風に思われたくないし、言われたくない」と思っていました。人のことをペラペラしゃべるような人間になりたくないという気持ちと、それをしないと父から嫌われるという恐怖心。相容れないふたつのことが渦巻いていて、いつでも心がぐちゃぐちゃでした。

「原爆の日」にカラオケを熱唱した父

だから、87歳になった父が先日のデイサービスで、長崎原爆の日にちなんで「ながさき~はぁ~きょうもぉ~あめぇ~だぁぁぁったぁ~♪」と演歌を熱唱したと聞き、私は心底嫌になりました。

私はもう50年以上もそんな父と付き合っている。なぜ父がそういうことをするのか、知りたくもないのに知り尽くしている。父の頭の中の思考回路は、たぶんこんな風になっていると思う。 [...]


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