デイサービス。入れ歯のない父は刻み食（それが不満） (2)

「物の形がないから、食べた気がしない。隣の人の食事を見て、あれを食べてるんだとイメージしながら食べてる」。 ...

あ～なるほど。ワケわかんないところのある父ですが、今回ばかりは勉強になりました。人って、食べ物を口に入れて、その味や食感を楽しんでるだけじゃないんだね。お肉ならお肉、野菜なら野菜の形を見て、うまそう！とか、食べ物の味を連想したりして、口に入れる前から「食べる」という行為は始まっているんだね。刻み食の父には、元の食材の形が何もないから、「野菜だな」とか「肉だな」とか、食べる前の工程がない。だからつまらない。

「お父さん、人の食事を見て、元の形を把握した上で刻み食を食べてるんだ。賢いじゃん！」

しかし呑気なことは言っていられません。父は、いったん不満を述べ始めると怒りが止まらなくなる。便秘のときは特に。「俺はずーーーっと我慢してたんだーーっ」みたいに言われた母は、焦って、ケアマネに連絡したそうです。「夫は、入れ歯なしなんですけど、普段から普通の食事なんです。刻み食が不満なようです」と。

そしたら翌日すぐにケアマネージャーが家に来てくれたそうです。（素早い対応に驚き＆感謝します。）食に対するヒアリングを、父と母からして帰って行ったそうです。粗い刻みになるのか、普通食になるのか・・それは次回のデイサービスのお楽しみ。

それだけでは終わらないのが父。父は、意外と繊細なんだよなぁ。ケアマネさんが来てくれたその日の晩から、２日間眠れなくなったそうな。それを心配する母も、まる２日徹夜したそうな。

私は、ちょっと父に似ているところがある。だから寝れなくなった父の気持ちがわかる。あのね、お父さんはたぶん、「刻み食が不満」なんて大好きなデイサービスにクレームつけるようなこと言っちゃって、ケアマネさんが家にやってくるような大ごとになっちゃって、もしかしたら「利用者さんから不満」ということで、ケアマネさんから「かんにんな（実家の地方の、ごめんなさいの意）」とか言われて、父の方が申し訳なくなっちゃったと思う。

家で不満をこぼしたことがバレちゃった恥ずかしさとか、人に謝らせちゃった罪悪感とか・・。異常なまでに人に気を使う父。私も、ひとり勝手に人に気を使って疲弊することが多いから、なんかそこのところの気持ちがわかるような気がする。おまけに、羞恥心とか罪悪感とか、そういう気持ちに整理をつけるのに時間がかかる。だから気になって眠れなくなっちゃう。

父は３日目にしてやっと寝れたそうです。しかしその３日目は、デイサービスの日！さすがに、２晩徹夜したような状態では、眠かったらしく、大好きなデイサービスも今回はお休み。当日お休みの連絡したから、父の昼食、準備してあったと思う（笑）。利用者さんから不満のあがった「刻み食問題」を解決して、普通食なり粗刻みなりを準備してくれた矢先に、本人欠席！・・みたいな展開だね、きっと。

今回は、父のことが、新たにわかった気がしました。外で不満があっても、相手に気を使って本音を言わないところがある父。それを言っちゃたら「相手に悪かったな」なんて気に病んじゃう父。人の食べてる普通食を見ながら、刻み食を口に入れ、自分を満足しようとさせていた父。お父さん、意外と優しいしスマートなんだねぇ。

人っておもしろい。長い付き合いのある相手でも、その人に関する新たな発見がいくつになってもあるもんなんだな。

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