認知症とは違う!急性一過性精神病性障害とは
高齢の父が、ある夜突然、狂ったようになりました。「ネズミがいる」と幻覚を見て、暴れました。「いよいよ認知症か・・」と思いました。しかし違いました。それは「急性一過性精神病性障害」と呼ばれるもので、父は認知症ではありませんでした。父の症状は、次のようなものでした。一見、どうみても「認知症」です・・。 ...
幻覚・幻聴
ある夜、父は突然「ネズミがいる」と言い出しました。「押し入れにいる。押し入れから音がする」と言って聞きませんでした。「違うよ」「何もいないよ」と否定するようなことを言うと、逆上しました。タオルやタオルケットの動物柄が本物に見えるらしく、ひどく怖がりました。
ものを壊す
「ネズミを退治しないといけない」と言って、押し入れのものを全部出しました。(もちろん、出したものをしまうことはありません。)引き出しの物も全部出しました。はさみを振り回しながら、家中を物色。1階と2階を行ったり来たりしました。手当たり次第に物をハサミで切り刻んだり、投げつけて破壊しました。キャッシュカードが真っ二つ。時計も食器も壊れました。最後にはトイレのタンクまでひっくり返そうとしました。
風呂から体を拭かずにあがる
脱いだ服を胸に大事そうに抱えて風呂に入り、湯船につかりました。濡れた体を拭かずに、びしょ濡れの服を抱えたまま出てきたので、部屋中ビショビショになりました。
ゴミ箱に排尿
2階の私の部屋のゴミ箱には、排尿の後がありました。そのほか、クッションや座布団じゅうたんもすべて廃棄処分しなければならないほどの惨状でした。体を拭かずにお風呂からあがってきたのでビショビショグチャグチャなのか、排尿もしたのか・・。おそらくしたと思います。
玄関の位置がわからない
玄関の位置がわからなくなりました。ネズミが怖かったらしく、外に逃げ出たかったようなのですが、どこから出ればいいかわからない。物を投げつけ、窓を割り、そこから出ようとしました。
母が浮気してると錯覚
そのとき母は、父の親戚の高齢男性を助けに呼んだのですが、父は母とその人が浮気してると勘違いしました。母がその人と話をしている姿が、「自分に隠れてコソコソ何かしゃべってる」ように見えたようで、「母ちゃん浮気してる」ということになってしまったようです。
暴力
その勘違いが、さらなる悲劇を生みました。父は、その知人を殴り怪我させました。別人のような目で母とその人を睨み、動物のようにウーウー唸り続けていたそうです。「自分たちだけでは無理」と判断し、その人が110番通報。警官3人がかりで取り押さえてもらいました。
精神病院に緊急搬送
父はそのまま精神病院の閉鎖病棟に入院しました。入った部屋は「隔離室」でした。医療保護入院でした。
父の本当の病名は・・?
母から一報をもらい、とにかく驚きました。「認知症の発症って、そんなに激しいものなの?」と疑問には思いましたが、認知症以外、その時点では思い当たれませんでした。しかし、というか、やっぱり、というか、認知症ではありませんでした。父の病名は今まで聞いたことのないものでした。 [...]
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